誰も知らない (2004年)

少年映画評価 10点
作品総合評価 10点
少年の出番 100%(主役)
お薦めポイント 柳楽優弥君のすべて!
映画情報など 2004年公開/DVD発売済


言わずと知れた2004年カンヌで最優秀男優賞を受賞した作品です。これを見て衝撃を受け、少年映画というものの力の存在を実感し、本サイトを立ち上げるきっかけになった作品です。

■ストーリー

主人公は12歳の明(柳楽優弥君)。全員父親が違う、妹2人、弟1人の4人兄弟。今は父親はいない。母親(YOUさん)は、子供達を愛してるが奔放な性格。そしてある日、4人を残して家を出ていってしまった。

生活費は最初だけ。やがて4人兄弟は悲惨な状況に陥っていく。それでも彼らは生きていく。1年が過ぎ、幼い少年だった明は、思春期を迎え、声も変った。それでも生きていく。悲惨な事故がおこっても、青空の向こうには。


■カンヌで栄冠

当時こんな作品がカンヌに出ているなんて全く知らず、TBS系の「サンデーモーニング」で日本人初で史上最年少とかいいながら、回転遊具で回る柳楽君の予告編を流しているの見て初めて知りました。へ〜え!と興奮したと同時に、関口宏氏とコメンテーター達が、柳楽優弥なんて申し訳ないけど本当に「誰も知らない」とダジャレを言ってたのが記憶に残っています。

■カンヌ受賞作は面白くない?

カンヌ受賞作品は芸術性重視であまり面白くないとの話もあり、前売券も買わず、特に期待もせず、公開2日目の朝2番にシネカノン有楽町で観ました。単調なのに2時間24分があっという間で、この世界に魅入られたまま、どうやって家に帰ったかも記憶が定かでない程でした。

■柳楽君に尽きる

この映画ですが、柳楽君に尽きるとしか、言いようがありません。セリフは多くなく、演技では、妹達や女子中学生の方が達者だったかもしれません。でも彼の圧倒的な存在感、汗、色気、絶望感、希望など、他の役者では絶対にマネできないものだったと思います。

■実際の事件とは別物(まったくのフィクション)

実際にはもっと悲惨であった巣鴨置去り事件をモチーフにしている点を、美化しているとか、甘いなど、ネットで叩く人もいます。それはそれで自由です。自分としては、実際の事件のことなど、どうでも良く、そんなことを遥かに超越した「誰も知らないワールド」を見事に創り上げた是枝監督に大拍手です。

■その後の柳楽君・・

柳楽君という少年をここまで魅力的に撮り、映画史に残せたことが重要です。ただ自分としては、柳楽君というより、この作品の「明」が魅力的でした。そのせいもあり、その後の彼の作品にはパッとしたものが無いように思います。

■映画館で8回も

DVDも発売されましたが、映画館で都合8回鑑賞しました。うち3回は、ティーチインとか、お台場映画王など、是枝監督の生の声を聞いています。残念ながら柳楽君は一度もみていません。まあ彼が出るとなると、ミーハー女性が殺到するので、知的な男性諸君には嫌な状況になるかもしれず、これで良かったと思います。

■ロケ地めぐり

映画のロケ地が、私の散歩コースである、中野区と新宿区の妙正寺川沿いである事が分り、何度も散策し、写真を撮ったりしました。(いつか、ページに上げてみます)




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