どこまでもいこう (1999年)

少年映画評価 9点
作品総合評価 8点
少年の出番 100%(主役)
お薦めポイント 鈴木優也君の透き通った声
映画情報など 1999年公開/DVD発売済


■小品だけれど心に引っ掛る作品

今やヒットメーカーの監督になってしまった塩田明彦監督がメジャーになる前の小作品。結局、ユーロスペースなど劇場公開時には観ることができず、DVDで鑑賞。

■ストーリー

東京のマンモス団地が舞台。思春期に入り始めた二人の少年達(鈴木雄作君,水野真吾君)は、まるで何かから逃げ出そうとするように、団地の中で走り回ったり、花火をあげたり、少し悪いことにも誘惑を覚える。

そんな中で、クラスでも目立たず友達もいない1人の少年(鈴木優也君)の部屋へ、いたずら半分で強引に遊びに行く。彼と母親の意外な歓待を受け、とまどう2人の少年。友達のいなかった少年も、主人公と友達になれたと喜び、誕生日にも来てよ、と誘うまでになるが、ある日、破局が訪れる。

■塩田監督作品ではベスト

最初の印象は、ほとんど起伏のないストーリーで「あれ?もう終り?あっけない!」なのに、なぜかストーリーを何度も反芻してしまう不思議な力を持った映画でした。多分、普通の人は、この作品がなぜ上位ランクなのか、訝しく思うかもしれませんが、それは支配人の感性です。(そう言うと身もフタもありませんが)

主役はじめ3人の少年達に徹底的にフォーカスしており、女の子も出ているけれど完全に脇役で、少年映画として完成度は高いと思います。並外れた美形の子役がいる訳でもなく、その辺のお子様のような少年達が、映画の中でだんだんと生身の存在感が出てきて、ある意味、魅力的にみえてきます。

塩田監督で少年がメインの作品はこれ1つだけ、あとは女性や少女メインの映画しかないという点で、これがベスト作品です。

■ロードムービーではなかった

題名だけから、少年達が最後は家出して、どこまでも行ってしまうロードムービーかと思って期待していましたが、ロードどころか、結局、団地の中を一歩も出ることなく、終わってしまい、思いっきり肩透かしを喰らわされました。

■1枚の絵

結局どこへも行かなかった不満を、一発で解消させたのが1枚の稚拙な絵。母子心中であっけなく死んでしまった少年が残した絵は、主役の少年と2人で池の周りを「どこまでもいく」願望のシーンでした。

内気な少年が、主役少年とほんの少しだけ交した友情が忘れられず、こんなささやかな願望が遺作になってしまった、なぜか泣けてきます。女の子とでなく、少年2人でどこまでも行こう、ってところが、少年映画の醍醐味。

■「カナリア」の原点?

この映画がロードムービーできなかったのは、まだ無名監督でお金がなかったから?と邪推しています。後年、資金を手にして「カナリア」で思いっきりロードムービーを撮りましたが、監督のロリコン嗜好が固まってしまっており、本作のような純粋さを望むべくもなく、少年映画としては、超駄作に終わってしまいました。(別途、第4部で書いています)

■DVD特典映像は大ブーイング!

ところで、DVDにはメイキングやキャストや監督のコメントが付いているのですが、あろうことか、主役はじめ少年は全くなしで、脇役だった少女が、監督と2人で仲良くしゃべっているのです。いくら監督が少女嗜好でも、主役少年達を無視し、脇役少女だけを呼んでニヤニヤしている感性は理解できないなあ。




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