リトル・シンドバッド 小さな冒険者たち (1991年)

少年映画評価 9点
作品総合評価 7点
少年の出番 100%(主役)
お薦めポイント 第1次湾岸戦争前のアラブ世界
映画情報など 1991年公開/VHSビデオ発売は現在絶版


ネットで検索しても、情報が殆どありません。忘れられてしまった作品です。でも正統派の少年冒険映画でした。もう一度スクリーンで見たいものです。

主役の白倉慎介君。本当に熱演でした。
■ストーリー

マレーシアに赴任中の父と一緒に暮らす少年・陽一(白倉慎介君)が、ふとしたことから現地の貧しい漁師の少年アリフ(ズルキフリー・アザリ君)と知り合った。アリフの父親はパキスタンに出稼ぎに行ったまま行方不明になっているという。色々な経緯があり、陽一はアリフの父親を探すために貨物船で密航して、パキスタンからサウジアラビアへと2人で旅をしていく。

■国際的なロードムービー

ストーリー的には随分とご都合主義なところはあるのですが、次から次へまるでアラビアンナイトのように、アラブ世界を旅できるのは、映画ならではの醍醐味だと思います。主人公の陽一少年は、あまり関係ないのに、頼まれてもいないのに、強引にマレーシア人少年アリフについて行く。かなり厚かましい性格の少年かもしれません。

今の日本人少年はすべて受動的で、自分から何かをするようキャラが少なくなっているようで、面白みがありません。この陽一のような能動的なキャラの少年が増えてほしい。

■湾岸戦争の余波?

湾岸戦争直前のサウジアラビアがロケ地となっており、まだまだ平和なアラブ世界をみることができます。勿論その裏ではイラン−イラク戦争や、フセイン大統領の野望が進捗していたとは思いますが、テロとかゲリラなどは少なく、秩序は保たれていたように見えます。

多分、この映画撮影の直後にイラクがクウェート侵攻、その後の湾岸戦争となり、この映画の公開もなにかその余波を受けたのか、全く話題にもならず、興行的には大コケしたんだと思います。私は3回も劇場で観ましたが、3回併せても観客は20人以下だったような。

■白倉君とフォークソング

主演の白倉君の役は、かなり情熱的な少年、悪くいえば常にテンションが上がっているタイプなので、イライラする人もいるかもしれません。私にはそんな彼が非常に新鮮で魅力的にみえます。

そんな彼が、ふと自分を振り返って寂しくなる瞬間が描かれています。それは自分の持ってきたカセットテープを車のカーステレオで聴くのですが、その曲がなんと、山本コータローの「岬めぐり」なんです!

いくら1991年とはいえ当時の小学生が聴いて涙を浮かべるような歌ですかねえ。きっとスタッフの誰かが、フォークソング全盛世代の人で、自分の趣味で選曲したんでしょうか。

■キネマ旬報での酷評

キネマ旬報で、女性映画評論家(名前は失念。北川れいこ氏だったかも。)が酷評していました。この人は当時の少年映画を片っ端から酷評していた記憶があります。

基本的に少年が活躍する映画が嫌いなんでしょう。なら、なんでコヤツにこの手の映画を担当させるのか!と、しばらくはキネマ旬報を読まなくなりました。(今はたまに読みますけど。)




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