機械仕掛けの君 (2020年)

少年映画評価 8点
作品総合評価 6点(短編25分なのが勿体ない)
少年の出番 90%
お薦めポイント アンドロイド少年と少年の無垢な交流
映画情報など 2020年製作。WOWOWで放送。
(写真は川口和空君)


人気の若手男性俳優5人が短編映画制作にチャレンジするWOWOWの企画。本作は磯村勇斗さんの監督作品。内容はハーレイ・ジョエル・オスメント主演の米映画『A.I.(2000年)をオマージュしたもの。でもたった25分なのに2時間の大作と変わらない感動作。

主役は子役出身の泉澤祐希さんとなっていますが、実質の主役は川口和空(わく)君と、潤浩(ゆんほ)君の2人の少年俳優。この2人が本当に素晴らしいのです。天才子役ハーレイ君も顔負けの演技力。

反アンドロイド派の労働者がやってきた。ここにアンドロイドがいる!
手前のコウタは固まってしまった。後ろのカナメはアンドロイドではないのか...

2035年。人間そっくりのアンドロイドが普及し、人間の職が激減。アンドロイド規制を訴えるデモが頻発。技術者の青年(泉澤祐希)もその一人。青年は弟のコウタ(川口和空)と2人暮し。コウタは純真な少年。廃工場に行っては友人のカナメ(潤浩)と遊んでいる。実はカナメの父はアンドロイド開発会社の社長だ。

その日も遊んでいると、青年とデモ労働者たちが警察に追われて逃げ込んできた。労働者の持つ探知機にアンドロイド1体の反応が...コウタとカナメのどちらかだ。コウタだ!青年の必死の制止も虚しくコウタは叩き潰された。コウタの持ってきた宝物...カナメはそれを拾った。

■アンドロイドは誰だ?

とにかく25分とは思えない充実感。どうやら脚本は別の方が書かれたようですが、それでも磯村勇斗さんの監督力も大したもの。2人の少年。お坊ちゃま風のカナメがアンドロイドだとばかり。まさか川口和空君が演じるコウタとは。だってコウタは立小便までするんですよ...

しかし潤浩君が演じるカナメも実は(探知機に反応しない)アンドロイドだったのでは。父親に「お前は旧式」と言われて1回捨てられたとか。その間は別の子が家に来ていたとか。そして決定的なのは太陽の塔。

2人の少年は各自の宝物を持って来る約束。カナメは家にあった、首のもげた太陽の塔のオモチャ。コウタは、そのを持ってきた。つまり2人は同じ家で育った(開発された)アンドロイドではないのか...

■人類の進歩と調和

冒頭、2人の少年は月面着陸ごっこ。1969年のアポロ11号。持っているオモチャは1970年の大阪万博。監督の磯村勇斗さんは1992年生まれ。よくこんなの知っていましたね。私が小学生の時、固唾を飲んでテレビを見ていました。翌日の教室では全員が興奮気味で、アームストロング船長の真似するヤツも。

万博の太陽の塔も強烈でした。映画『20世紀少年』を始め漫画や小説にも多大な影響を与えました。今でも話題になるのですね。やっぱり岡本太郎はすごい。2025年の大阪万博にそんなパワーがあるのでしょうか...

■こんなアンドロイドが欲しい...

ロボットやアンドロイドが職を奪う。別に構わないと思うのです。全ての人間が豊かな生活を送れるのであれば。生きるための労働から解放される世界。どれだけ科学や社会が進化しても「働かざる者食うべからず」の社会が未来永劫続くよりも。(人間は堕落するのかもしれませんが)

何か書いている事が支離滅裂になりました。コウタのようなアンドロイド。欲しいです。ずっと少年のままでいてくれるのですね(知能や感情は成長するそうですけれど)。家に帰ったら可愛い声で「お帰り、お兄ちゃん」 泉澤祐希さん演じる青年がコウタを守ろうとした気持ちが痛いように判ります。

コウタを叩き潰したのは女性労働者。演技とはいえ腹立たしい役柄ですねぇ。なぜ破壊しないといけないのでしょう。あの日本○軍の女性活動家を思い出してしまいました。

いつも2人で遊ぶコウタとカナメ。
(カナメはお坊ちゃん風)
次は宝探しをしよう。コウタは言った。
(お互いに自分の宝物を持ってくる事にした)


カナメの家は豪邸。父はロボット会社の社長。
(このシーンは完全に映画『A.I.』を意識してる感じ)
コウタの家は汚いアパート。兄と2人暮し。
兄は言った。窓を開けてはいけない。見られるから...


コウタはカナメの絵を描いた。
ありがとう。コウタは絵が上手いんだね...
アンドロイドはコイツだ、壊してしまえ!
コウタは何も反撃しない(ロボット3原則?)


コウタは壊されてしまった。
(粉々にならないのが、却って生々しい)
2人の持ってきた宝物。太陽の塔のフィギュア
カナメは胴体、コウタは金色の頭。1つになった...



※後記
2人の子役は売れっ子との事。川口和空君はTVドラマでもよく見ます。本作品は少し成長して少年らしくなりました。誰かに似ていると思ったら、岩永彩之心君。イメージDVDで見て以来、今はどうされているのか判りませんけれど。







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