街は虹いろ子ども色 (1987年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 5点
少年の出番 100%(ほぼ主役です)
お薦めポイント 80年代の正統派少年の姿
映画情報など 1987年公開/DVD等の発売なし
(写真は、準主役の和田求由君)


■王道を行く「にっかつ児童映画」

今は、大人はおろか子供にも見向きもされない児童劇映画。末期に近い作品です。古いビデオテープを整理していて、断片的に見つけたのがこの作品。MBS(大阪毎日放送)マンデー・シアターとの字幕がありましたので、平日の昼間に放映されていたものを予約録画したものだと思います。

MBSで放送されていました。ダビングを繰返したので画質が劣化しています
■ストーリー

東京・新宿の下町が舞台。ヒロシ(和田求由君)の通う小学校に、美少女ジュン(近藤絵麻さん)が転校してきた。もちろんヒロシは、魅力的なジュンとすぐ友達になった。

ある日、お屋敷に住む僧侶と孫と知り合い、その広い庭を利用して、犬や猫などペットを飼えない子供たちの遊園地を作ろうと計画する。(団地の子が多いのでね。でも子供のくせにボランティアではなくビジネスにするところが先進的)

大盛況となった遊園地。それが面白くないのが学校の悪ガキ連中。本当はジュン達が好きなくせに、悪さをする、典型的な昔の悪ガキ。遊園地にボヤ騒動を起こし、見事に悪だくみは成功。でも大騒動になりすぎて反省するのも、昔の子供たち。

やがて遊園地の土地が地上げ(もう、この言葉があったかどうかは?)される事になり、ヒロシやジュン、そして悪ガキ連中まで一緒になって戦う。結果はともかく、子供たちには、いい思い出になったのでした。

■80年代の正統派少年、和田求由君

この映画の主役は少年ではなく、転校生少女なのですが、ヒロシ少年の目線で物語が進行します(とは言っても記憶があやふやですが)。和田君の名前はどう読むのかネットで調べたところ、「きゅうゆう」と読むそうです。僧侶のような立派な名前ですね。

なかなか男らしい精悍な顔立ちです。でも、シャツをズボンに入れてピシッとベルトを締めた、当時の少年スタイルは本当に清々しい。これぞ昭和末期の正統派美少年。当時の少年ドラマで描かれるワンパターンの少年像でしたが、今の時代にもこんな少年がいて欲しいものです。

和田君は映画「誘拐報道」(1982年)で誘拐される子役としてデビュー。その後も何本か映画に出演。今、入手できる映像は、オリジナルビデオ版の「ゲゲゲの鬼太郎 魔笛エロイムエッサイム」で主役の鬼太郎を演じたもの。

当時も今も少年ドラマの定番といえば入浴シーン。私は別にどうでもいいのですが、この映画でもしっかり入浴シーンがあります。洋画では子役のシャワーシーンなんてあまり見かけないのに。もう少しレビューを書きたいのですが、録画テープも無くなってしまい、記憶も僅かです。貴重な文化遺産としてDVD化を切望するところです。

ヒロシが街を駆け回って活躍します
怪しげな行動も(昭和末期の正統派少年スタイル)

■その後の、にっかつ児童映画

本作品の後、1990年の映画「夏のページ」が実写映画としては最後の作品になりました。90年代に入るとテレビでも少年ドラマが激減し、次第にシラケ世代になったのかもしません。

91年と93年に2本の日活児童映画が公開されましたが、実写ではなくアニメ映画。それでも、もはや児童映画の時代ではなく、それで終了です。時代の流れには逆らえません。でも、震災からの復興への願いも込めて、新しい児童映画シリーズを作って欲しいものです。





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