真夏の少年 (1991年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 6点
少年の出番 100%(主役です)
お薦めポイント 日本の原風景のような少年
映画情報など 1991年公開/DVD発売中(写真は、車和也君)


■和歌山を舞台にした、のどかなドラマのはずが

もう20年以上前の作品になります。公開当時には監督と主演少年の舞台挨拶を生で見たにもかかわらず、あまり印象に残っていませんでした。しかし大阪・日本橋の中古ショップで格安のDVDを見つけ、つい買ってしまい、再度見直しました。

■ストーリー

和歌山の海辺の町が舞台。少年マサル(車和也君)は、母と2人暮らし。それでも近所の老漁師、源さんの船に乗せてもらい、素潜りや遠泳の得意な「海の子」だった。そんな夏の日、マサルの兄ケンジ(江口洋介さん)が婚約者を連れて東京から戻ってきた。

ケンジはかつて高校野球のエース。甲子園こそ逃したが、アキラにとって神様のような存在。でも婚約者がいるので、少し照れている。しかしケンジは東京でヤクザになり、対立する暴力団の幹部を射殺。故郷へ逃げてきたのだ。

海とミカン畑に囲まれた、のどかな町で束の間の夏を楽しむケンジ、マサル、婚約者。でも平和な時間は長く続かなかった。ケンジは東京から追ってきた刺客に殺されたのだ。マサルの目の前で。

尊敬する兄を失い、更に追い討ちをかけるように、大好きだった源さんまで病で失ってしまった。一人残ったマサルは海に向って泳いでいく。決して逃げるのではなく未来へ向って。

■江口洋介さん、やはり浮いていました

決して演技が下手で浮いていたのではありません。それどころか、こんなローカル映画にも係らず、手抜きゼロで真剣に取り組まれている姿勢には好感が持てます。

カッコ良すぎるのです。他の出演者たちは和歌山の田舎にピッタリなんですが、江口さんが和歌山人には全く見えないのです。(和歌山のみなさん、すみません)

最も違和感を感じたのが、主役少年マサルを演じた車和也君。日本の海辺にいる少年を絵に描いたような素朴な少年で、好きなのですが、江口さんの弟には見えないのです。

不思議なことに、女の人はどんな田舎でも違和感が無いのです。どんな田舎でも超美人はいると思うのです。でも田舎にカッコいいイケメンは合わない気がするのです。(私だけの先入観かも)

なので、マサルの姉が、東京から婚約者のケンジを連れて帰ってきた設定の方が、違和感がなかったと思います。高校野球の話を絡ませたかったので、ケンジを地元の大エースという設定にしたかったのかもしれませんが。(全国制覇を何回もした箕島高校の地元がロケ地のようですし)

■車和也君

さて主演少年の車くん。江口さんの弟には見えないなんて失礼なことを言いましたが、素潜りのシーンなど、身体をはった演技は立派です。ぼそぼそっとしたセリフは、普通の映画では棒読みと言われるかもしれませんが、この映画ではそれが和歌山の素朴さをよく表現しているように思いました。

実は1991年7月。京都産業会館シルクホールで上映会があり、野村監督と車君が舞台挨拶。短髪だった映画とは違い、長髪だったせいか、映画より随分カッコよかったのを覚えています。(今は改装されて立派なホールらしいのですが、当時は古くて狭いホール。客も少なく、目の前に2人がいました。)

■地方映画をもっともっと。

ワンパターンの脚本が多い地方映画ですが、単なる町おこしではなく、地方から文化や情報を発信することは、今の時代にますます必要ではと思います。ワンパターンでも構いません。できれば地元の俳優や子役も発掘して欲しいものです。

最後に少しだけ苦言(出た!オヤジ)。今回は軽く。主人公の少年に万引きさせたり、ビールを飲ませるのは止めましょう。いや、させてもいいのですが、それをカッコいい行為みたいに思わせるのはいけません。

もう一つ。このDVDの画質はなんですか!ゴースト(二重映り)みたいなものまで。最初はVHSビデオで出ていたのですが、そのビデオを何回かダビングして劣化したものをDVDに焼いたようにしか思えません。定価4900円もするのに。





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