打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? (1994年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 6点
少年の出番 100%(主役です)
お薦めポイント 灯台の上。花火をバックの4人の少年
映画情報など 1994年公開/DVD発売中
(写真は、山崎裕太君と反田孝幸君)


これはテレビ番組だと思っていました。岩井俊二監督がブレイクするきっかけになった作品という認識はありましたが、映画として公開されていたとは知りませんでした。そういう訳もあり、今さらですが、DVDで再度鑑賞したものです。

ラストシーン。灯台に登り花火を横から見る少年たち。(これが本来のテーマのはずなのに)
■ストーリー

ある海辺の町。夏休みを前に小学6年生の少年達にひとつの疑問が湧き起った。花火って丸い(球体)のか、平べったい板のような形なのか。それを確かめようと、少年達は、祭りの夜に灯台の上で花火を見ようという事になった。

その前に、典道(山崎裕太君)と祐介(反田孝幸君)は水泳で勝負する事になった。たまたまプールにいたクラスの超美少女なずな(奥菜恵さん)に審判を頼んだ。ところが家庭に問題をかかえる、なずなは勝った方の少年と駆落ちしようともちかける。

第1のケース。勝ったのは祐介。しかし祐介には重荷過ぎて結局なずなを裏切る。それを知った典道は祐介を殴ってしまった。しかし、もし典道が勝っていたらどうなっていただろう。

第2のケース。勝ったのは典道。典道は戸惑いながらも、なずなのペースに引きずられて駆落ちについていく。バスに乗って町の駅まで来てしまった。覚悟を決めた典道。ところがなんと、なずなはここで「やーめた」。あきれながらもは2人は町に戻り、そして祭りの花火を下から見上げる。

一方、祐介はクラスの少年達と約束通り、町の外れの灯台まで歩いていく。しかし予想外に遠かった。灯台に着いた時にはもう祭りは終っていた。もういいやとあきらめた時、最後の1発が打ち上がった。


テレビシリーズでは「if もしも」の設定で、異なる選択をした場合、どう結末が変るかが主題でした。しかし本作品はルール違反。典道は第1のケースで祐介が裏切った事を知った上で、第2のケースに臨んでいるようですので、自分はその轍を踏まないようにしているのは反則じゃないでしょうか。(どうでもいい事ですけれど)

山崎裕太君。当時の人気子役の一人
反田孝幸君。やはり当時の人気子役の一人
(二人とも、いつも口が半開き。ちょっとオマヌケに見えて)

■これは少年たちの物語と思うですが

ネットでレビューや感想を読むと大変評価が高いものが目立ちます。でもほぼ100%奥菜恵さんの事ばかり。彼女のインパクトが大きかった事は確かにそうなので、これを否定するものではありません。しかし山崎裕太君、反田孝幸君の二人の熱演を評価してあげないと、あまりに可哀想な気がします。

山崎裕太君はトップクレジットなので本作品の主役。彼は当時テレビの「あっぱれさんま大先生」で人気を博していた子役ですが、ちょっと憎まれ役的な芸風?だったので、あまり見たいとは思いませんでした。

反田孝幸君も個性的な子役さんでした。乳歯なのか前歯が欠けているように見えるので、ふてぶてしい表情にも見えますが、演技力は素晴らしいものがありました。この二人の友情と裏切りみたいな部分も本当は見せ場のはずなのですが、少女への思いに比べると、友情など薄く描かれているのがやや残念です。

ましてや灯台へ向って歩いていく4人の少年達。これは茶番みたいに扱われているのはもっと残念。4人の少年と言えば、あの名作「スタンド・バイ・ミー」。でもこの作品では4人の少年はいても、いなくても大して影響が無いほど軽い存在でした。

ただ1時間にも満たない中篇ですので、ストーリーをあれもこれも詰める訳にはいかないのは理解できます。そういう意味もあり、少年映画もしくは少年ドラマとしては消化不良の感が強く、私にとってはやや物足りません。でもこの作品を大好きなファンが大勢おられるのは、素晴らしい事だと思います。

山崎君の足をかかえる反田君。
(この二人、抜けてるけれど、なんかいい感じ)
小橋賢児君。当時からイケメン

■その他の出演者について

4人の少年を演じた子役さんも個性的でした。特に上右の写真の少年俳優は、小学生には見えませんがイケメンですね。もっと彼が活躍できればよかったのですが。それと奥菜恵さん。やはり美少女でしたねえ。ただあまりに大人びていて、彼女を小学生と思うことはどうしてもできませんでした。でも最近はみなさん早熟なので、彼女くらいの小学生は大勢いるのかもしれません。

(追記)
この作品の撮影から6年後「少年たちは花火を横から見たかった」というドキュメンタリー映画が公開。山崎さんと奥菜さんが、当時の撮影現場を旅するというもの。この、元イケメン少年も登場。小橋賢児さんでした。





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