河童 (1994年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 5点
少年の出番 85%(少年時代のエピソードが主体)
お薦めポイント カッパ、実は宇宙人だったの
映画情報など 1994年公開/DVD発売中(写真は、主演の舟越圭佑君)


1994年制作の映画ですが、全く記憶にありませんでした。公開が同年12月ということですから、阪神大震災、オウム真理教テロ事件の直前。世間の注目が全部そっちへ行ってしまったのでしょうね。そういう意味では不幸な作品だったのかもしれません。

今回は、衛星放送WOWOWで放送され、たまたま録画したものを見たら、少年映画といっていいジャンルの作品。画面全体が暗いので、テレビのガラス面に自分の顔が反射して見にくいのが難点でした。

■ストーリー

海外在住の有名写真家、鈴森雄太(藤竜也さん)が帰国して展覧会を開催。そこへ一人の青年が現れ「母と息子を捨てて英雄気取りか」と詰め寄った。雄太の息子だった。その時、雄太は心臓発作を起こして倒れた。実は雄太の余命はわずかだった。どうしても果たしたい約束があるので、故郷へ戻ってきたと、息子に告げる。

40年前の昭和28年、8歳の雄太(舟越圭佑君)は母を無くし、父(陣内孝則さん)と二人で故郷に戻り、祖父と3人で暮らしていた。父は村の駐在(巡査)だったが、村人からは役立たずと馬鹿にされており、雄太はそれが不満で仕方なく、父を尊敬できなかった。

一方、祖父は物知りで優しく、雄太はいつも祖父と二人でいた。しかしその祖父も亡くなってしまった。そんなある日、河童が出たと村は大騒ぎになる。雄太は河童伝説の洞窟に入り込むが、村の悪童達にみつかり洞窟に一人取り残される。しかしそこで河童の親子と遭遇した。

母河童は人間の投げたバットが当り瀕死の重症。それを見た雄太は悲しくなり子河童(テンという名前)と友情を深める。やがて母河童は亡くなる一方、村人達は河童を捕獲しようと洞窟をダイナマイトで爆破。しかし洞窟内には雄太と悪童達がいた。巡査の父が洞窟内へ助けに向かうが、子供達の命と引き換えに殉職してしまった。泣き崩れる雄太。しかし洞窟の中で雄太はテンと約束を交わしていたのだった。

話は再び現代に。余命僅かな雄太は息子をつれて、河童の洞窟跡へやってきた。河童のテンとの約束を40年ぶりに果たすために。

■河童の正体は何だったのでしょうか。

タイトルは2文字「河童」だけ。潔いタイトルだけにカッパがメインなのですが、この当時から流行り出したSFXを駆使したかったのでしょうね。大ヒット映画「E.T.」(1982年)を意識しているのも確かです。ただカッパの造形は「エイリアン」そのもので、わたし的には馴染めませんでした。(本レビューでは河童写真なしで)

河童といえば黄桜(オヤジしか判らない)。それはさておき、ネタバレはしませんが、この村の河童は、二宮金次郎銅像、鉄ハシゴなど金属類を集めていて、洞窟の中で何やらメカを組立てており、最後は飛んでいきます。ネタバレはここまで。(こんなガラクタで?と思いましたが)

閑話休題。さて河童と少年の交流というテーマはいいですね。ただ河童と友情を深めるシーンがもう少し欲しかった。そのため別れの時に切なさが伝わってこないのが残念です。河童映画といえばアニメの「河童のクゥと夏休み」(2007年)が最高だと思っています。実写でないのが残念ですが、声優は少年が勤めているのが秀逸でした。

友人が河童と遭遇した!
洞窟に一人残されてしまった

■少年俳優の舟越圭佑君

洞窟内の冒険という、少年映画では必須のシチュエーションですが、よく頑張っていたと思います。ただ、やや突っ張り気味の性格の上、先ほども書きましたように河童との交流シーンが少ないので、最初は感情移入がしにくかったのが正直な感想です。

友情を表す重要アイテムがハーモニカ。できればもう少し上手に演奏して欲しかったけれど、これは仕方がありません。村の子供達となじめない中、一人だけ親友が出来たのですが、彼との友情のエピソードももう少しあれば、少年映画として高得点だったのに。これも仕方ないですかね。

完全に無いものねだりですが、次回は「河童のクゥと夏休み」を実写でやってくれたらいいのですが。制作費が滅茶苦茶かかりそうなのに、興収は期待できないので、ここ20年は無理かな。





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