鉄塔武蔵野線 (1997年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 7点
少年の出番 100%(主役)
お薦めポイント 鉄塔にとりつかれた少年2人の姿
映画情報など 1997年公開/DVD発売済
(写真は、伊藤淳史君と内山眞人君)


鉄塔武蔵野線というタイトルに惹かれて、最初に小説を読みました。鉄道オタクではありませんが、○○線という文字にロマンやファンタジーを感じるのは、少年の特性かもしません。

■ストーリー

高圧電線の鉄塔に、武蔵野線○○号と、まるで駅名のようなプレートを発見した少年、見晴((伊藤淳史君)。この鉄塔をたどっていけば、どこへ行くんだろう?大人からみればクダらない事かもしれませんが、友人の暁(内山眞人君)と一緒に、二人の少年たちが、夢やロマンを見つけてひたすらに、電線をたどっていくお話。


■子供の頃からオタクが似合ってた伊藤淳史君

電線を追っかけて、真夏の田んぼや畑や川をものともせずに、直進していく二人をあきれながらも、次はどうなるんだろうと、引き込まれてしまう冒険物語。別で紹介した映画「ごめん」が女の子を追っかけるのに比べれば、ずっと少年らしい爽やかな作品です。

2人の少年のうち、鉄塔に取り付かれたのは伊藤君演じる見晴。鉄塔をきわめる事が、最初は遊びだったのが、次第に、まるで親の仇を討たねばならないかのような義務に変わっていく。伊藤君の少し暑苦しい顔が迫真の演技で、ピッタリです。

成人して「電車男」など、ユニークで存在感のある俳優になりましたが、子役時代から電線を追うようなオタクが似合っていました。「独立少年合唱団」にも出ていましたが、どの役をやっても「伊藤淳史」になってしまうのは、子役ながら凄い事だと思います。日本映画の重要な個性俳優になっていきそうです。

■内山眞人君

伊藤君に連れられて、半分嫌々ながら冒険につきあう少年役。幼いのに、いつも眉間に皺をよせながら、なにか暗いものを背負ったような瞳が印象的でした。結局最後は、脱落してしまうんですけど。

この後、NHKドラマの「オグリの子」で主役を演じた時は、素晴らしい美少年になっていました。成人してからは、ウルトラマンとか仮面ライダーなど特撮ものに出ていたそうですが、残念ながら、その辺は全く興味がありません。

■ラストの違い

(映画の場合)
見晴が1人で鉄塔をたどっていき、立入禁止の変電所のような所に入り込んだところを電力会社の社員に見つかります。見晴が酷い格好をしているかもしれませんが、まだ子供なのに、突き倒すなど暴力をふるうシーンは、映画で芝居とは判っていても非常に腹が立ちました。しかし、それにもめげず、次を目指していくところで終わります。

(原作の場合)
ラストが180度違うのです。なんだかんだで、最後は電力会社の偉い人が、見晴の熱意に打たれて、高級社用車で鉄塔や変電所ツアーに招待します。そして、途中で挫折した暁も、フリフリの着いた服(女の子の服)を着て、一緒に乗り込んできます。確かこんな筋だったと思います。まるで、本当の白昼夢の世界ですが、こちらの方が100倍好きです。

次の鉄塔を目指して歩いて行くぞ




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