さくや妖怪伝 (2000年)

少年映画評価 8点
作品総合評価 5点
少年の出番 70%(主人公の弟分)
お薦めポイント 河童少年の存在が映画を救う
映画情報など 2000年公開/DVD発売済(写真は、山内秀一君)


■少女が妖怪を退治する特撮時代劇

この作品を少年映画のジャンルに入れるかどうかは、結構悩みました。少女(安藤希さん)が主役のアイドル映画的なコンセプトの作品だったからです。

しかし、安藤希さんのファンには申し訳ありませんが、主役である彼女の演技が今ひとつである中、映画作品として救ったのは、河童少年を演じた山内秀一君の存在でした。

■ストーリー

江戸時代、富士山の爆発で妖怪達がよみがえる。その妖怪を退治した武士の榊備前守芳明は大河童との戦いで刺し違えて倒れるが、その娘である榊咲夜(安藤希さん)が、後を継いで妖怪退治をすることになる。

父が倒した河童には生まれたばかりの子供がいたが、咲夜はこの河童を太郎と名付けて育てる。赤ん坊でもさすがは河童。たった半年で少年(山内秀一君)の姿へと成長する。河童の太郎は、親を殺した武士の娘である咲夜を姉と慕い、妖怪退治について行く。

こうやって桃太郎のごとく、咲夜は太郎や父の手下などを連れて、富士山の下へと妖怪退治の旅に出る。途中でいくつかの妖怪と戦いながら、最後に大ボスの土蜘蛛妖怪(松坂慶子さん)と戦う事になる。


■河童少年を演じた山内秀一君

主役の安藤希さんは容姿は美しいのですが、セリフが全くの棒読み。いくら時代劇とはいえ、これだけ判り易い棒読みは却って清々しいかもしれません。それだけに山内君の演技やセリフの自然さが引き立ちました。この時点で既に山内君は子役としてのキャリアを積んでいたのでしょう。NHK教育ドラマで主役をしていたのを少しだけ見た記憶があります。

河童役ですが、容貌も演技も健気で可愛く、後半は主人公の咲夜を凌ぐほどの半分主役クラスの活躍をします。 実際、もし山内君の役がなければ、この作品はかなり厳しいものになっていたのでは。咲夜だけでなく、映画を救った功績は非常に大きいと思います。

この映画は残念ながら公開時には観れず、DVDでの鑑賞になりました。山内君は映画キャストの順番では下の方になっていましたので、端役かなと思っていたところ準主役だったので、これは思わぬ拾い物をしたと喜びましたので、少年映画と認定したのでした。

この映画の後、NHK朝ドラ「ちゅらさん」にも出演され、超メジャーな子役になったようです。申し訳ありませんがNHK朝ドラを見る習慣がありませんので、どんな演技をされていたか判りません。今回、この映画のレビューを書くためネットで検索しましたが、成人されてからも若手イケメン俳優として活躍されているようです。是非頑張って下さい。

■時代劇、妖怪劇

少女(女性)主役の時代劇といえば、上戸彩さん主演の「あずみ」シリーズがありますが、もちろん観ていません。「もちろん」なんて偉そうに言ってすみません。ただ「あずみ」は続編も作られている事から、アイドル映画としてのインパクトは「さくや妖怪伝」の方が弱かったのでしょう。それとも安藤希さんと上戸彩さんの差でしょうか。

手塚治虫さん原作の「どろろ」も実写映画化されましたが、これもみたい気がしません。少年が活躍する時代劇が少ないのが残念です。一方、妖怪映画としては「妖怪大戦争」がリメイクされましたが、ヒロインではなく神木隆之介君という少年が演じてくれたのは良かったと思っています。

妖怪大戦争の続編も噂があるようですが、どうでしょう。神木君のようなカリスマ?的な少年俳優が出なければ、また少女が主役になってしまうのでしょうか。





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