ロスト★マイウェイ (2004年)

少年映画評価 5点
作品総合評価 5点
少年の出番 40%(脇役だが少し印象的)
お薦めポイント チープだがシュールな世界
映画情報など 2004年公開/DVD発売済


■映画番長シリーズ第1段(ワラ番長)

若手の映画監督にテーマを与えて映画の「番長」になることを競わせる映画番長シリーズというのが東京のユーロスペースの製作で企画されました。お笑いのワラ番長、アダルトのエロス番長、ホラーのホラー番長とシリーズ化。その監修は塩田明彦氏です。塩田氏もユーロスペースで頭角を現し、今や日本でもヒットメーカーの大監督です。

■ストーリー

中古車セールスの冴えない男(松重豊さん)は、お調子者のペテン師、禿頭の中年フリーターと3人で中年親父バンドを結成する。そこへひょんなことから中学生(増尾亮君)も加わるが、彼もまた中学生とは思えないほど何事にも醒めており、既に枯れてしまったような少年。

ある日、中年フリーターが原子力発電所のような所でバイトしているうちに誤って被爆してしまうが、何と目から強力な破壊ビームを出す能力を付けてしまう。このビームを使ってひと山当てようとドタバタが始まるが、その能力を米軍に買われて中東の戦地にまで出かけてしまう。

何事にも感動の無かった中学生も目覚め、家出して中年親父3人組と一緒に行動しようとするが、破滅しかない事が判った3人の親父は、中学生を巻添えにしないため、少年を車から捨ててしまう。

■中学生役の増尾君

やはり予算が少ないせいか特撮などは安っぽく、お笑いも中途半端なものばかりですが、どこか印象に残りました。超マイナーな作品ですが、DVDは全国のビデオショップで普通に置いてあるようのですので、是非購入してはいかがでしょうか。

本当に顔に生気のない、気力の無いムスっとした中学生でしたので、本人の素顔もそんな感じの少年かと思っていましたが、DVDで舞台挨拶をしている映像を見ると、もっと愛嬌のある普通の少年でした。もう少年俳優とは呼べない年齢になっているかもしれませんが、今も俳優を目指しておられるのかどうか、少し気になるところです。

この映画には中学生の母親役の女性は出てきますが、基本は3人の中年親父と中学生少年という男だけの芝居でした。ヒロインがいないだけに、増尾少年が終始ブスっとした顔をしている割りには、薬味みたいな感じで彼の存在が効いていたと思います。

これがメジャー作品ならば、3人の中年親父とくれば、もう1人は少女を配するだろうことは、火を見るより明らかに違いありません。

■ユーロスペースの奮闘

ワラ番長シリーズは、残り2作品「稲妻ルーシー」「独立少女紅連隊」の3本で競う形でしたが、私はこの「ロスト★マイウェイ」だけを鑑賞し、これに投票しました。残り2作は題名から女性や少女モノだと思いましたので。ただ結果はどれがトップになったのか残念ながら知りません。

少年映画には限りませんが、このユーロスペースのような存在が、メジャーに独占されてしまいそうな日本映画界に大きな盾となっているんだと思います。渋谷の桜丘町の小さなビルの2階にあった頃は、映画館のロビーが狭いのにも係らず、土日は多くの観客がいて大変だったことを思い出します。

今は道玄坂のミニシアターのシネコンのような新しいビルに移転していますが、このような映画館が大阪や全国に出来て欲しいものだと思います。





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