七人の弔い (2005年)

少年映画評価 5点
作品総合評価 4点
少年の出番 100%(7人それなり)
お薦めポイント 大人と子どものシュールな群像劇
映画情報など 2005年公開/DVD発売中


黒澤明監督の名作「七人の侍」をパロディにしたものだろうとは思っていましたが、公開当時は鑑賞する気がおきず、テレビ放送(スカパー)で鑑賞したものです。録画していませんでしたので、今回のレビューのために、中古DVDを1円(送料340円)で購入。

■ストーリー

(登場人物が多いので、役名、キャスト名は省略します)
ある郊外のキャンプ地に7組の親子がやってきた。しかし普通のキャンプとは違う。7人の親は、闇の臓器移植ビジネス組織に、自分の子を売り飛ばす目的でやってきたのだ。

7人の子供たちは、みんな児童虐待を受けていて、親から疎まれている存在だった。子ども達の中には、そんな親であっても親を信じ、親を愛している子もいた。1人5千万円。不適格者や脱落者が出た場合は、その分だけ上積みされるとあって、親同志の醜い争いが起こる。その雰囲気に1番年長の少年が気づいた。これはおかしい。

少年は子ども達と話し合い、キャンプの指導員を問い詰める。指導員はあっさり真相を打ち明ける。「君たちは、もう逃げる事は出来ない。残念だけど」驚く子どもたち。僕たちは死ぬしかないのか。しかし彼らは悩んだ末、ある提案をした。「臓器は子どものものでなくてもいいのでしょう?」さて、子どもたちの運命やいかに

■「七人の侍」との共通点は「七人」だけ

親が子どもを売る話でした。黒澤明監督作品へのオマージュとは思えず、単にタイトル名をパロっただけの作品だと思います。映画の持つ雰囲気は、師匠の北野武監督作品とほぼ同じ。シュールで、乾ききったような世界。

監督ダンカンさん自身が出演していますが、その立ち位置も北野監督と同じ。カッコいい主役とは、微妙に違うのですが、どこかカッコつけている。どうしても「監督=主役」の作品は、ずるい印象が残ります。

子どもを売る「親」を演じた役者さん。これはそれなりのベテラン俳優が揃っていますので、演技力は十分。その結果、全く同情したくない、嫌な人間を見事に演じていました。とはいえ、映画自体があまりに軽いため、同じように、邪魔になった子供を始末する、緒方拳さんの演じた映画「鬼畜」のような感動を求めるのは不可能でした。

■七人の子供たちについて

映画の内容はさておいて、臓器を取られる七人の子供たち。5人の少年と2人の少女。少女2人は、既にモデルとして活躍されていたのでしょうか、お人形のような美少女。また最年長の少年も既にイケメン俳優の雰囲気。

少年俳優といえるのは、残り4人の子役さん。それなりに皆、可愛く、頑張っておりました。印象に残ったのは、ちょっとボーっとした女の子のような波田野秀斗君、「なぞなぞ」の声が可愛い戸島俊季君。

DVDにはメイキング映像がありましたが、そのナレーションを戸島俊季君が担当。なかなかしっかりとした声で、このメイキングの方がある意味、本編より貴重かもしれません。

決して感動する作品ではありませんが、それなりに面白い部分もありました。七人いるので、焦点が絞りきれず散漫な印象ですが、誰かに焦点をあて、もう少し掘下げてリメイクしても面白いかもしれません。
最後に、4人の少年俳優の写真を掲げて、本レビューは終りとします。

最初は女の子かと思った波田野秀斗君
(父親役の温水洋一さんに抱かれて、露骨に嫌な顔)
なぞなぞの声が可愛い戸島俊季君
(メイキングのナレーションは立派)


つぶらな瞳が可愛い松川真之介君
思春期に入りかけの石原圭人君





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