妖怪人間ベム (2012年)

少年映画評価 6点(鈴木福君の頑張り)
作品総合評価 4点(昔のアニメの方が数倍面白い)
少年の出番 90%(もちろん主役3人の1人)
お薦めポイント 懐かしいアニメの主題歌は健在
映画情報など 2012年製作。DVD発売中
(写真はベロ役の鈴木福君)


妖怪人間ベムと言えば、私が幼い頃、大好きなアニメ(マンガ)の一つ。当時一緒に見ていた妹は夜トイレに行けなくなるほど怖がっていましたが、それでも懲りずに毎回見ていました。鬼太郎とは違ってどこか異国風の暗いストーリーが子供には強烈なインパクト。

再放送は結構ありましたが、鬼太郎のように続編が作られる事もなく、私の中では伝説のアニメに。早く人間になりたい!というセリフはお笑い等のネタで有名ですが、私の中に残っているのはエンディングのベロの歌(正式には「ベロは友だち」)。そんなことあるもんか...顔は怖いがいいやつさ...

2006年に約40年ぶり(1作目は1968年)に新作アニメが放送されたそうですが全く知らず。2011年に日本テレビで実写ドラマ化。所々は視聴しましたが。ベロ役の鈴木福君はさておいて、ベム役のJ事務所の亀梨和也さんに大きな違和感。それで映画も上映時はスルーでしたが、WOWOWの放送を録画して視聴。

もともとは「妖怪人間ベム」と言いながら少年妖怪のベロが完全に主役でした。リメイクではご多分もれず少年の存在感は薄れ、イケメンと女性のドラマになってしまいました。

ベロを演じた鈴木福君。年齢を感じさせない達者で豊かな表情はさすがでした
(福君、初代AKBの何とかいう人に似ていると嫌だなあ...ちょっと目の間が)
■ストーリー

いつの時代か判らない。暗い音の無い世界で1つの細胞が分れて増えていき、3つの生き物が誕生した。これは人間になれなかった妖怪ベム(亀梨和也)、ベラ(杏)、ベロ(鈴木福)の物語。

ある港町にやってきたベムたち。ベロは公園で遊ぶ1人の少女と友達になる。少女は母の小百合を亡くし、製薬会社の研究員である父(筒井道隆)と二人暮し。最近 製薬会社で幹部が殺害される事件が続発。この父は不死薬を研究しており、それを事故死した小百合に投与。小百合は生き返ったが副作用で妖怪化したのだった。

製薬会社 社長は薬の実用化のため副作用事例をもみ消し、研究者の父とその娘の少女さえ抹殺を図る。それに怒り狂った小百合は超強大化した妖怪になり製薬工場を破壊しようとするが、ベム、ベラ、ベロの3人はなんとかそれを阻止できた。しかしこの町にはいられない。少女に恋心を抱いていたベロも正体見られてしまった...

(ストーリーの補遺)
映画は2011年の実写ドラマの最終回という位置付けですので、ドラマを見ていないと判らない登場人物も多々。ベムたちに協力する刑事(北村一輝)、妖怪人間を研究する老人と女性たち、人間になれと迫る怪人物(柄本明)など。彼らの位置付けが判らず、結果的に映画として散漫になってしまい、作品レベルを低下させていると思うのですが...

■そんなにまでして人間になりたいの...

ベムやベロは昔のアニメに比べて超スーパー能力を身につけています。どんなに遠くても遮蔽物があろうと対象物を透視する能力。刃物で斬られようと銃弾を無数に受けようと不死身(緑の血は出るようですが)。そして何十年と生きています。それって羨ましいとしか言えません。

アニメ版のベロ

本作の舞台になる港町。ベロ「ここ前にも来たね」前というのが20年くらい昔の事...少女の父がまだ幼い少年だった頃、ベムたちに助けられているのです。ベロは何年経っても少年の姿のまま。これだけなら吸血鬼モノなどによくある話。しかしベロは心も少年のままだそうで...

容姿も普段は人間っぽい。ベムはイケメン、ベラは美女。なんで文句を言う必要があるの。でもずっと死ねないというのは、ある意味地獄かもしれません。仏教でいう輪廻よりも更に狭い輪廻の中に永久に閉じ込められたようなものですから。

さてベロ役の鈴木福君。もう本当に安心して見ていられる演技。ひょっとして福君は本当に何十年も少年のままでいる妖怪なのかって思うくらい。不満点といえば衣装。原作通りにピチッとしたタイツを着用して欲しかった。原作は怖いくらいの濃い顔。でも薄い顔のベロも良かった。

ベムは本来おっさんのはず(柄本明さん演じる怪人物の方がベムに近い)。なので違和感ありましたが、亀梨さん演じるベムも有りかな。最近の2.5次元ミュージカルなどで活躍するイケメンを意識したのでしょうか。ベラはキャラクターが固まっていますので、誰が演じてもそれなりにベラに見えるものです。

鬼太郎実写映画でも感じましたが、映画の内容は昔のアニメ1話分よりも薄いくらい。とはいえ、やはり映画は見てみるもの。改めて認識しました。

冒頭シーン。強盗団がバスをジャック。
強盗は真ん中の少年を人質にして逃げるが...
闇の中から現れた妖怪人間が強盗を一蹴...
また闇の世界へと去っていった(カッコいい)

ある港町でベロは足の悪い少女と友達になった
(ベロの服装は原作通りタイツにして欲しかった)
運動会で少女を応援。少女は最後まで完走。
喜んだベロがグランドへ。でもつまみ出された...

約20年前。少女の父親は強盗の人質に。
(実はこの時も少年助けたのだった。妖怪人間は不老...)
暴れ出す妖怪を前に、ベロも変身し始めた。
(妖怪になったベロの姿は省略。グロなので)

少女の母が変身した妖怪を退治したが...
(変身した妖怪の姿を少女に見られてしまった)
せっかく友達になれたのにお別れ。
(この切ない表情。福君はプロですなあ...)







▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼第5部トップへ戻る