青い鳥 (2008年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 8点
少年の出番 90%(高齢少年ですがOK)
お薦めポイント 阿部寛さん演ずる本当の教師
映画情報など 2008年公開/DVD発売中


2008年11月29日、シネリーブル梅田(大阪)にて。「死にぞこないの青」と同じ日に鑑賞。大阪駅から15分ほど歩いた梅田スカイビルの3Fにシネリーブル梅田はあります。公開初日2回目(14:40)の受付を済ませ、同ビル地下の昭和レトロな横丁を再現した飲食街へ行き、行きつけの寿司屋で昼食です。

整理番号は28番でしたので、無事に最前列のシートを確保。客の入りは8割強といったところ。女性の比率が圧倒的に多いのは予想通りでした。さて、映画の内容は、既に様々なサイトやブログで感想が書かれていますが、じっくりと腰が座った、見応え十分の力作でした。

■ストーリー

ある中学校でイジメが原因の自殺事件があった。新学期、この中学に臨時教員の村内(阿部寛さん)が赴任してきた。村内は吃音(ドモリ)が酷かったが、静かな態度で授業を始める。しかし一つだけ頑なに行うことがあった。それは自殺した生徒の机を教室内に置く事だった。

主のいない机。生徒や父兄は反発するが、村内は「忘れてはいけないのです」と意に介さない。そんな村内に対して、苛めに加担したのではと罪悪感を持つ生徒(本郷奏多君)が、自分の思いをぶつけてきた。


■苦手なジャンル

苛めがテーマの学園ものは、私の最も苦手なジャンルです。今回の本郷奏多君も「生徒諸君」とかいうTVドラマに出ていたようですが、私は全くダメでした。(TVドラマはどうしても俗悪なイメージを持っているので、それでなくても観ない傾向が強いのですが。)

この映画では、苛めシーンや暴力シーンはほんの僅かしかなく、静かにストーリーが進行していきます。起承転結のヤマは小さいので、最近のハリウッドや刺激的なTVドラマに慣れた方々は退屈かもしれません。でも私にとって、この映画の緊張感はどうでしょう。退屈なんかする間もなく、あっという間にエンドロールが流れてしまいました。静かで、平坦で、それでいて緊張感がある、そんな作品が私の好みです。

重松清氏の原作が次々と映画化されていますが、どれも作品的には今一つの感がありましたが、これは小品ながら、ピリっと輝く名作になると思います。主役である吃音の教師を演じた阿部寛さん、今年は「歩いても歩いても」に続いて演技派男優の名を上げました。

実は、他の作品はあまり知りませんけど。そして阿部さんと堂々とわたり合う生徒役の本郷奏多君、彼も見事でした。ここへ来て初めていい役を貰いました。3年前にこんな役を貰っていれば、少年俳優として名を残せたのにねえ。

嬉しかったこと。本郷君14歳に見えました。もう何年?14歳くらいの少年を演じているんでしょう。さすがに角度によっては大人の顔でしたが、話し方なのか、身体から出てくる雰囲気が「少年」そのものです。

残念だったこと。「狼少女」の鈴木達也君、舞台挨拶でトナカイの耳をつけ、甲高いソプラノ声で一生懸命しゃべっていた、あの可愛いかった少年が、暴力をふるう不良中学生。しかもそれが似合っている。少年俳優の定めとはいえ、哀しいなあ。

すみません。つい余計なことまで書いてしまいました。本作品は女優陣がかなり控え目ですので、本当に地味ですが、素晴らしい作品だと思います。ただ、上映している映画館が非常に少ないのが残念ですが、機会があれば是非ご覧下さい。





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