忍たま乱太郎 夏休み宿題大作戦!の段 (2013年)

少年映画評価 5点
作品総合評価 3点
少年の出番 70%(主役なのに意外に少ない)
お薦めポイント 子供向けの微笑ましいギャグ
映画情報など 2013年公開/DVD・BD発売中


2011年の実写映画化の第2弾。2013年夏休み映画として公開されましたが、映画館での鑑賞は気が引けましたので、年が明けてBDとDVDが発売になるのを待って鑑賞しました。少し奮発してBDのスペシャルエディション版を購入したのですが。

おなじみの3人組。左から神月朱理君、林遼威君、加藤清史郎君
■ストーリー

忍術学園1年生の3人組、乱太郎(加藤清史郎君)、きり丸(林遼威君)、しんベエ(神月朱理君)は夏休みの宿題に苦しんでいた。そのころ、由緒ある刀鍛冶の家から「極楽丸」という刀が盗まれた。

この刀を抜いた者は天下を獲るといういわれのある妖刀であり、どうやら盗んだのは、隣の城の家老だった。この家老は、実は別の領主のスパイであり、天下を獲るという野望を持っていたのだ。

そんなわけで(説明は手抜き)、乱太郎たちは、この極楽丸を取り返しにいくことになった。まあ、しいて言えば、こんなストーリーです。

(女装1)加藤清史郎君
■前作よりも大幅にスケールダウン

前作も映画というよりバラエティに近いものでしたが、大物俳優や少年俳優も大勢出演。日本の芸能界の(J事務所以外の)男子子役総出演みたいな感じでした。それに比べ、本作は出演者が少ない。特に忍術学園の生徒がいません。子役や少年俳優を集めるのが難しかったので、夏休みという設定にしたのでしょうか。

その分、ストーリーに見応えがあればいいのですが、これがまた空虚なのです。お子様向けのギャグと、必要性の乏しいアクションシーンばかり。もともとが幼児向けのマンガですので、大人の鑑賞には厳しいものがあります。

■主役は乱太郎じゃないのですか?

原作の事は知りませんので、よく判らないのですが、主役は乱太郎なんでしょうか。本作品では、どうもそう思えないほど影が薄いのです。若手イケメン俳優の特撮アクションがメインという感じでした。

日曜の朝にテレビ朝日系列で放映している、戦隊シリーズ、仮面ライダーなど(真剣に見たことはありません)と全く同じようなアクション。そういえばこの映画も東映製作なんですね。

この映画のターゲットは、お子様とその母親層なのかもしれません。それはそれで構いません。判っていたら、高いスペシャルエディションBDなんて買うのでなかった。レンタルDVDで十分かな。

(女装2)林遼威君
■「王様の剣」と「シンデレラ」

いきなり何?この見出し、って思われたかもしれません。ちょっと辛口ばかり書いてきましたので、本作品から思い浮かんだポジティブな話もしておきたいと思いまして。

映画の終盤で、妖刀、極楽丸を抜こうとドタバタが始まるのですが、大人が寄ってたかっても抜けず、なんと最後に抜いたのは乱太郎。(ここだけは主役の面目躍如)

ここで思い出したのが、古いディズニーアニメ「王様の剣」。アーサー王の剣の物語といった方が有名かもしれません。王の資格を持つ者しか抜けないという伝説の剣を、貧しい少年があっさりと抜いてしまう話。

原作者も、多分アーサー王の剣の話を意識していたのではと思います。それならば、もう少しそういう方向へ脚本を持っていけば、メリハリがあって面白くなったかもしれません。

弱い子供、貧しい人、賎しいと思われていた人が、実は凄い人だったというのは、この手のストーリーの基本ですもんね。マンネリと言われようが、シンデレラストーリーは人をひきつけます。

■少年俳優たちの頑張り

少年俳優の活躍についても書いておかないと。影は薄いとはいえ加藤清史郎君は堂々の主役。もう12歳になるのですね。身長が低いので一見低学年にも見えるのですが、アップになると、しっかり少年の顔になっています。舞台などの経験もありますので、本当はしっかりと少年俳優としての主演作が欲しいところ。

目にキラキラと星。大八木凱斗君

林遼威君も芸達者。早生れなのでもう中学生なのかもしれません。加藤君と林君のコンビは、きっとスタッフとしても安心して任せていたような気がします。女装なども余裕しゃくしゃくといった感じ。

特典DVDのメイキング映像では、3人の子役を中心に1時間以上の映像が収録されており、本編よりこちらの方が価値があるくらい。しんベエの神月朱理君は、ある意味3人の中で一番推されている感じです。ただ演技は、まだまだこれからですね。

最後にもう一人。チョイ役でしたが、一番気になった少年俳優の写真を大きめに掲載しておきます。

大八木凱斗君、昨年のNHKプレミアムドラマ「かすてぃら」で名演技を見せてくれました。声も容姿も理想的といっていい少年俳優ぶりでしたが、本作品では、まだ少し幼い顔つきです。

目のまわりに星がキラキラしている、やや思わせぶりな映像が良かった。もう少し出番があればよかったのですが。
さて次回作はあるのでしょうか。





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