あの日、ぼくらの大脱走 (2013年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 6点
少年の出番 95%(佐野真白君が実質主役)
お薦めポイント 和製スタンド・バイミーの世界(月並みですが)
映画情報など 2013年製作/DVD発売中
(写真は主役格の、佐野真白君)


独立系の映画製作グループ MIRAI PICTURES JAPANでは、これまでも「TWILITE FILEシリーズ」の中で、少年映画も作っていました。「あのころ・・Summer Memories」や、「僕はこの丘で、君を愛したい・・」などがあります。

今回はそのTWILITE FILEシリーズも10となり、本作品の製作も随分前に発表されましたが、劇場公開は東京のみで、それも、たった1日だけ。独立系の作品を上映してくれる映画館なんて無くなったのでしょう。日本文化の衰退です。でもこの会社はきちんとDVDを発売してくれますので、それを待っていました。そして思惑通り、今回DVDを入手できました。

左から、サヤ、リョウ(主人公)、コウイチ、マコトの4人組
■ストーリー

小学生のリョウ(佐野真白君)は母と二人暮し。父は母と別れて大阪で売れない漫画を描いている。ある日、友人で虐められっ子のマコト(月見里和真君)が、家出すると言い出した。どこへも行く宛のないマコトに、リョウは大阪のお父さんの所へ行こうよ、と自分も家出することに。

そこへ更に教育ママに悩むコウイチ(今井翔太君)、女の子のサヤ(櫻井愛弓さん)まで加わった。しかし大阪へ行くお金が無い。それを横で聞いていた若い男2人組から、大阪まで車に乗れよと誘われ、4人は乗り込む。(オイオイ、どう見ても悪人顔の男の車に乗るかあ。2015年の寝屋川市の男女中学生事件を思い出すなあ)

案の定、山の中に入った所で、4人は所持品を全部奪われ、車から放り出された(性的暴力や誘拐されなかっただけマシ)。仕方なく4人は山の中を歩いて行くが、人里は見当たらず野宿、コウイチが足をケガして歩けなくなった時、1軒の廃屋を見つけた。

一方、もう一つのストーリーとして、自動車部品の下請工場を倒産させられた男(山崎邦正さん)が、その復讐のため、親会社の超大手自動車メーカーの会長を誘拐し、この廃屋に隠れていたのだった。

復讐に萌える男、冷徹なリストラを進めた会長、そして4人の無邪気な子供たちが、一つの家で時間を共有するうちに、奇妙な連帯感が生まれた。まるで家族のように。男は憎しみを、会長は冷たさを、それぞれ反省するようになっていった。そして最終局面に。(後はDVDを見て下さいね)

■なかなかの脚本です

マイナーな製作会社の作品ですので、ストーリーなどは度外視していたのですが、少年少女4人組、復讐男と会長、泥棒(4人を車に乗せた2人組)など、2重、3重の伏線が、最後に絡まってきます。もう少しお金をかけて丁寧に作れば、名作になっていたかもしれません。

男を演じたのが、お笑いタレントの山崎邦正さん。実は改名して「月亭方正」さんと落語家をメインにされているようですが、この作品DVDのメイキングでは、山崎邦正と自己紹介されていましたので、こちらで表記しています。山崎さんは、顔に似合わず(失礼)、なかなかしっかりとした演技に驚きました。

また、NHK教育「天才てれびくん」で司会をされた事もあり、子供の扱いというか、子供達への目線に優しいものが感じられ、なかなかいい雰囲気でした。(あくまで私がそう感じただけですが)

■少年俳優たち

やはり実質主役を演じた佐野真白(ましろ)君が目を引きます。表情の変化が豊かで、見ていても飽きません。DVDのメイキングの舞台挨拶では、子供とは思えない達者な挨拶で、オシャレな服装とあいまって、タダ者ではない印象です。役は10歳の設定ですが、実際には中学生くらいかもしれません。

マコト役の月見里和真君、コウイチ役の今井翔太君も頑張っていました。女の子の櫻井愛弓さんは美少女ですし、もうどこかのアイドルとしてデビューしているのでしょうか。演技については、練習の時間が少なかったかもしれませんが、まだまだ勉強が必要です。今後もいい作品に出演していって欲しいものです。

独立系でも、地方映画でも、細々でも構いませんから、とにかく少年達が活躍する映画を継続して作っていって欲しいものです。MIRAI PICTURES JAPANさん、これからもよろしく。

家出することに決めたんだ
廃屋で濡れた服を洗濯して貰う





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