ハルをさがして (2015年)

少年映画評価 5点
作品総合評価 5点
少年の出番 90%(主役のはずなんですが)
お薦めポイント 福島を旅する中学生たち
映画情報など 2015年製作。DVD等発売予定なし。
(写真はノボル役の小柴大河君)


2016年5月3日、大阪中之島の中央公会堂で開催された第14回中之島映画祭で鑑賞しました。映画祭といっても、まるで大学祭のような手作り感が漂うものですが、これが油断できないのです。これまで少年映画でもいい作品が上映されてきました。DVDの即売会もありますし。

今年もホームページで上映作品をチェックしましたが、少年が登場するのは本作品だけ。独立系や学生映画でも、少年映画はだんだんと減ってきたように思います。(女子中高生が主役のものはありますが)

それでも本作品は、観衆が選ぶグランプリに輝きました。結構、少年俳優が出演する作品がグランプリに選出されることが多い気がします。そういう意味で、大阪の庶民の見る目はあるのかも。

女子に振り回される中学生ノボル、ヒロキ、マサル
■ストーリー

震災後、福島から東京へ避難した中学3年生の少女(佐藤菜月さん)。愛犬のハルを親戚に預けてきたが、そのハルが行方不明になった。一方同じクラスの落ちこぼれ3人組のノボル、マサル、ヒロキ(小柴大河君、小泉凱君、橋本一輝君)は夏休みになってもすることがない。

少女に思いを寄せるノボルが「夏休みに福島へ行く」といった事がきっかけで、少女と3人組は福島へハルを探しにいくことになった。ハルの行方にあてもないまま、少女に振り回されて、3人組は悪戦苦闘するが。

■所感など

キャッチフレーズに、福島版「スタンド・バイミー」とあり、キャストの先頭はノボル役の小柴大河君でしたので、かなり期待したのですが、主役は佐藤菜月さんでした。完全に少女映画と言っていいでしょう。

原発被害を恐れて東京へ自主避難した少女一家ですが、クラスメートは現地に残っており「友達を捨てて逃げた」というコンプレックスが、この映画の一つのテーマでした。監督さんは福島に寄り添って作ったとの事ですが、原発から逃げるのが「悪」のような印象も与えています。これはどうなんでしょうねえ。

主役の佐藤菜月さんは、ちょっと堀北真希さんに似た美少女で、全編彼女を中心に撮られています。男子3人組の存在感は薄いのです。特に主役のはずだったノボルは、終始ウジウジして自分の殻を破りません。映画のどこかで脱皮してリーダーシップを発揮するのかと待っていたのですが、最後まで何もせず。

3人組の中では、端役ですけれどマサル役を演じた小泉凱君が少しだけ印象に残りました。まだ変声しきっていないのか声が高く、角度によっては可愛い表情も。ただ全体的に残念なのは、上映の画質がお粗末すぎること。プロジェクター投影ですが、ギザギザが目立ち、まるでyoutubeの480p程度。(無料ですのでゼイタクは言えませんけれど)

DVD化は多分期待できませんが、どこかで自主上映されていましたら、皆様もご覧になって下さい。

犬を探す3人。知らない人に尋ねるのは苦手
3人組。マサルのズボンが短い



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