家族の日 (2016年)

少年映画評価 4点
作品総合評価 4点
少年の出番 80%(キーマンではあるのですが)
お薦めポイント 岡山の少しゆる〜い話。岸部一徳さんがいい
映画情報など 2016年公開。DVD未発売。
(写真は長男役の茂山虎真君)


2016年の4月、たまたま岡山市へ寄った時、レトロな奉還町商店街を歩いていると、地元の情報を集めたような場所に本作品「家族の日」(岡山県高梁市が舞台の地方映画)のチラシが置いてあり、持って帰りました。

数年前から11月に「家族の日」が設定されていますが、祝日でもないので知名度がなく、知名度アップのための映画かと思っていました。大阪でも公開との情報がありましたが、先行上映の岡山で見たくなって、衝動的に新幹線に乗って出かけました。

■ストーリー

東京で暮らす君原(伊原剛志さん)は妻(田中美里さん)と3人の姉弟を連れて、岡山県高梁市に移住した。イジメ問題に悩む長女や長男の環境を変えるためだった。田舎に馴染めない長女と長男とは違い、まだ幼い次男(茂山慶和君)は田舎や山の生活に興味津々だ。

山には「ターザン」と呼ばれる浮浪者(岸部一徳さん)がおり、時折り畑の作物を盗むため、住民から嫌われていたが、次男はこの浮浪者と友達になる。そしてある日、山の中に入ったまま次男は行方不明になってしまう。


山の中を自由に歩く次男
■伝統芸能と子役は、求められるものが違うのでは

都会から地方都市への移住を促進する「地方創生」の一環で作られたような感じで、政府から補助金でもあったのか、結構豪華な俳優陣が出演しています。主役は伊原剛志さんで、妻役の田中美里さん、先に移住した先輩役の平田満さんなど、有名な俳優さんがしっかり演じています。(同じ2016年の映画「マザーレイク」のように、実際はほんの少しの出演なのに、名前だけは大々的に宣伝されている有名俳優さんとは別です)

しかし何よりも岸部一徳さんの存在感が素晴らしい。山で暮らす浮浪者。実際にいたら悪臭プンプンで側に寄りたくない所ですが、なぜか変な魅力があります。おっとりした関西弁(京都弁)が、それを醸し出すのかもしれません。

長男を茂山虎真君(お父様は茂山正邦氏)、次男を茂山慶和君(お父様は茂山逸平氏)が演じていましたが、残念ながら少年映画ではありませんでした。二人はそれぞれ有名な狂言家元のご子息です。特に茂山逸平氏は若手新進の狂言師として有名ですが、1990年のNHK朝ドラ「京ふたり」では小学生役で出演し、結構人気が出ていたのを覚えています。

しかしですね、厳しい事を言わせて貰うなら、少年俳優とはいえ、名前だけで選んではいけません。二人は狂言の稽古はしているとは思いますが、映画は全く違うのです。とんでもない棒読みの連続に、よく監督さんはOKを出したものです。脇役で出ていた子供達の方がずっと自然でした。

たった一人の中学男子生徒(氏名不詳)は出番は少ないのですが、味がありました。転校してきた美少女である長女に「イモ」「臭い」「バカ」とか徹底的に馬鹿にされるのですが、全く反発しないのが、少し痛々しい。もうちょっと出番が欲しかったところ。(あと、出演者に、大竹まこと氏がいるのですが、この方がいるだけで、映画を見たくなくなるのは困ったこと。)

少しずつですが、全国でも細々と公開されそうですので、機会がありましたらご覧になって下さい。

幼い次男と山の浮浪者の交流
映画館「岡山メルパ」の館内展示

映画が上映された「岡山メルパ」はレトロな映画館。郊外型ではなく都心の商店街に残っている映画館なのが嬉しいです。いつまでも残って欲しい。狭いロビーには、本作の撮影やロケ、舞台挨拶の様子の写真が貼ってありました。





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