ひとけたの夏 (1992年)

少年映画評価 6点
作品総合評価 5点
少年の出番 100%(伊丹に住む普通の少年)
お薦めポイント 90年代初め。バブルと無関係な少年たちの夏
映画情報など 1992年公開。DVD等なし
(写真は主役の中村俊介君)


伊丹市市制50周年の記念として作られた短編映画の一つ。ずいぶん前からyoutubeには上がっていました。ただサイズが小さい上、画質もノイズが多いのでレビューは少しためらっていました。今年は伊丹市の75周年という事で、また同じものがyoutubeに上がっており、ごく簡単に紹介します。

同じ1992年の映画「夏色浪漫」も伊丹市の作品 (市制50周年記念とは違うかもしれません)。こちらはTV放送の録画が残っているので画像はマシでしたが、本作品はyoutubeのキャプチャーですので、大きな画面写真を紹介できず、すみません。

左は伊丹(大阪)空港の絶景ポイント。右はリョウたち4人組の少年
■ストーリー

バブルがはじける1992年の伊丹市が舞台。小学生のリョウ(中村俊介君)の夏休みが始まった。夏休みの日記という形で進行する。サトル、アキラ、ヒロシと4人でクダラナイ遊びをしながら夏が過ぎていく。

4人組とはいえリョウは浮いている。受験の学習塾にも通わないといけない。流行りのインベーダーゲームもやりたい。決して品行方正ではない。バイクに乗った不良っぽい青年が喧嘩するのを見て憧れるし、万引きはするし、かき氷屋のお姉さん(羽野晶紀)が草むらで男とエッチしているのを見て発情するし・・

4人はカブトムシを捕まえて観察して夏休みの宿題にするつもりだったが、リョウの母が(勉強の邪魔になるのでさっさと観察させるためか)カブトムシを買ってきた。その事が原因でリョウと3人は喧嘩になってしまう。そんなこんなで、夏休みは終わってしまった・・

■何も起こらない少年の夏、それが一番いいのかも

ハリウッドや邦画メジャー系映画の夏といえば、激しい恋、家出、幽霊、怪物、異次元、宇宙人などの刺激に満ちています。そうでないと観客は呼べないのでしょう。人気ラーメン店がその味付けをエスカレートさせていくように。(実際店主は自分の店のラーメンは食べないとか..健康に悪いので)

一方で特別な事件は起こらず淡々と夏を描いていく作品もあります。一見何も起こらないように見えて、終わった時には主人公の成長が感じられる、こんな作品が好きです。本作品もこの分類に属するのですが、主人公や物語にやや品が無くて騒々しいのが残念なところ。(プレステの人気ゲーム「ぼくのなつやすみ」風ですが、こちらは品がありました)

左はリョウ、右はボス格のサトル
夏休みもリョウは塾に行かないと..
(他の3人から疎外される原因..)
エアコンも無い部屋。ぐうたらと..

■面白かったシーンなど

ちょっと印象に残る映画のシーンを一つだけ紹介。リョウの父親が薄くなった頭を紫電改ブラシでポンポン叩いています。(以下のセリフはこの通りではありません。あくまでこんな感じ)

リョウ「父ちゃん、それ本当に効果あるの?」
父親 「だいぶ生えてきた。お前下の毛まだやろ、これで叩いたろか?」
母親 「なにクダランこというてるの!」

あまり解説しませんが、とにかく私はしばらく笑いが止まりませんでした。ちなみに「紫電改」というのはカネボウから発売されていた養毛剤。これをつけて専用ブラシで叩くと効果があるとか。故・杉浦直樹さんのCMが一世を風靡しました。どうでもいいシーンですけれど。

カブトムシが原因でサトル達から
蹴られるリョウ
最後は仲直り。かき氷屋の姉ちゃん
リョウにだけ大盛りサービス
(エッチ現場を見られて口止め料)
リョウの夏休みは終わった..

■DVDが欲しい・・

この伊丹市市制50周年記念として製作されたのは本作「ひとけたの夏」の他に「ぷるぷるパニック!!妖精大混乱」、「下駄とジャズ」という作品があるそうです。ネットで検索すると「ぷるぷるパニック」はDVDを販売するサイトがありました。(少女ものは需要があるのでしょう)

本作品「ひとけたの夏」もDVDパッケージの画像だけは出てきます。でもどこで販売されたのか、今も入手できるのかさっぱり判りません。なんとか見たいものです。
(最近はネット検索しても、悪質なもの含め商業サイトか、質の悪いまとめサイトばかり。個人のマニアが情報発信をしているようなサイトはめっきり減りました。みんな受け身の人ばかりになって、日本は大丈夫だろうかなんて・・)






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