しんしん (2020年)

少年映画評価 7点
作品総合評価 5点
少年の出番 90%(主役)
お薦めポイント 暗い目をした少年。カメラを手にして光が宿った...
映画情報など 2020年公開。youtube無料配信中。
(写真は主役の浅川大治君)


日本映画といえば、@大手商業映画、Aミニシアター/インディペンデント映画、B地方映画、C学生映画でした。少年映画は@Aでは期待できず、BCが頼みの綱。それも最近は少女映画に置き換わりつつあります。そんな中で本作は新しい形態であるD企業映画です。本作はカメラメーカーのシグマが製作。

ちょっと凝ったドラマ風のCMなどは以前からありました。本作はCM訴求を表に出さず(裏に隠して)映画として独立した30数分の短編。そして主役は少年。企業イメージとして未来へのメッセージ性などを考えると今後も少年俳優が使われる事が期待できそうです。

ラストシーン。施設を抜け出た少年はカメラを持って1人で歩く。その表情はもう一人前の男...
■ストーリー

ある海辺の町。ケンタ(浅川大治)は父から耳が聞こえないフリをしろと強制される。障害者補助金を貰うためだった。元ヤクザの父は(たぶん)刑務所を出所したばかりで働く場所も不安定だったためだ。母は亡くなっていない。

ニセ聾唖者のボロを出さないよう学校にも行かない。ただ町や海岸を暗い目をして歩き回るだけ。ある日、押入れからカメラを見つけた。そこには亡き母が写っている。その日からカメラがケンタの生きがいになった。

父が血を吐いて倒れた。ケンタは慌てて近所の人に助けを頼む。耳が聞こえる事がバレてしまっても仕方がない。父は一命を取り止めたが、ケンタは施設に入る事...

■カメラはシグマの最新機種

ケンタは約12歳。亡き母と幼児だったケンタが写っているカメラ。少なくとも10年前のもの...なのに押入れから出てきた古いカメラは最新機種のシグマfp(2019年10月発売)。これこれ!無粋な事を言ってはいけません。これはシグマのCMでもあるのですから...

ただ全編このシグマfpだけで撮影された映像は美しい。特に被写体の少年の表情が本当に芸術的な美しさ。毎週日曜放送のTBS世界遺産。スポンサーはキャノンでCM被写体は女性ばかりですが、少年だってこんなに魅力的な被写体になるんですよ!とキャノンの人に言いたい。

ケンタは医者の前で耳が聞こえない演技。これ本当に聞こえないのか、ウソついてるのか、ベテランの医者ならすぐ判ると思うのですが。これも深くは追求しないことに。アラ探しは止めて皆様も是非ご鑑賞してみて下さい。

元ヤクザの父は少年に言った。「お前は耳が聞こえないんだ。わかったな!」

少年には行き場がない。家でゴロゴロするだけ。「たまには外へ行け!」父に言われた。

ただ黙々と町を歩く。目は常に下を向いている...

町で声をかけられたが聞こえないフリ。その目は少年とは思えない。まるで戦場の難民(この目が好きだなぁ...)

カメラを持った日から少年は変わった!(判りやすいCMですなぁ...)

父が血を吐いて倒れた!少年は助けを求めて走る。
(元ヤクザでも少年にとってはかけがえのない父。本当は大好きだった...)


※後記
今回のキャプチャー画像は映画の雰囲気を保って横長の大きめにしました。ただ全体的に画像処理を加えて明るくしております。この色がシグマのレンズの色ではありません(シグマさんには申し訳ありません)





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