チビ六 二死満塁 (1981年)

少年映画評価 7点
作品総合評価 4点
少年の出番 100%(堂々の主役!)
お薦めポイント 少年野球ドラマ。今は無き西宮球場や阪急が懐かしい..
映画情報など 1981年製作の学校教育映画。VHSビデオ絶版
(写真はチビ六役の池田真司君)


前回紹介したレッドビッキーズに続いてまたも少年野球モノ。この時代は少年野球ドラマ全盛期。原作は1978年の児童文学(砂田弘著)。1982年にはフジテレビでアニメ化(90分単発)されましたが、1981年の本作実写映画は幻の作品でした。Wikipediaにも誰も書いていません。

原作が読書感想文の課題図書に選定されており、本作は主に学校教育用映画として流通し、一般劇場公開などは無かったのかもしれません。ただVHSビデオは販売されており、最近になって幸運にもお借りする機会がありました。

左はタイトル画面。右はチームメイトの少年たち。黄色のシャツがチビ六
(共和教育映画社という教育映画専門の会社の作品)
■ストーリー

六助(池田真司)は少年野球チームのショート。みんなからチビ六と呼ばれるハッスルボーイ。父は療養中でおらず、母が働いているが生活は楽ではない。不注意で給食代を無くしたが母には言えず、先輩の中学生から借りた。これが事件の始まり。借金をタテに少年野球大会で八百長をしろと...

八百長はしなかったが、悩みのあまり最終回にエラーをして敗戦。給食代は何とか返したが、今度は八百長をばらすといって恐喝を重ねてくる。やがて八百長の噂が少年野球リーグ理事会に伝わり、チビ六を除名しない限りチームは試合出来ない。監督は迷った末に決断した...

■二死満塁...その意味

これツーダン、フルベースと読むんですよ。攻める方も守る方も最後のヤマ場。ここで悔いのないプレーができるでしょうか。こんな状況に追い込まれた時にこそ、その人の人間性が出てくるものです。

主人公のチビ六は中学生に脅され、大人たちから批難され、少年ながらも悩んで悩んで悩み抜きました。そして最後は正しい(と思われる)道を選びました。正しいと思う事から逃げなかったことが素晴らしい。

もちろんその影には理解ある大人がいた事。芦屋小雁演じるチームの監督。最初はイケイケのパワハラ系オヤジ監督に見えましたが、子供を最優先に考える人情派でした。決勝戦。監督は反対を押し切ってチビ六を出場させます。監督にとってもここが二死満塁でした。

■関西ならではの...

82年のアニメ版は見ていませんが、キャストを見ると完全に東京のお話。本作は逆にベタベタの関西のお話。気になったのがチビ六の話し方。81年ですが、ここまで(卑屈にさえ聞こえる)大阪弁にしなくても...

お金を貸した中学生の先輩は本当は優しい少年。怪我で野球が出来なくなった反動で不良とつるんでいるだけ。この不良が本当に腹立たしい。その脅し方は関西ヤクザそのもの。どうも見ていて嫌な気分になります。最後は先輩が目覚めてチビ六を助けます。

後は映画の本筋とは関係ありませんが阪急ブレーブス。少年たちがあの懐かしい西宮球場へ応援に。アンダースローの山田、盗塁王の福本、阪急黄金時代(マスコミは巨人一辺倒で阪急はいつも悪役)。そして対戦相手は南海ホークス。もう懐かしくて涙が出そう...

身体は小さいけどファイト満々
六はショートのポジション
中学生たちに絡まれるチビ六
金を返せ、明日まで待ってやる
貸してくれた先輩。本当は優しい少年
チビ六をチームに誘った本人だった


返せないなら試合で八百長しろ!
本当のワルはこの太っちょ中学生
新聞配達したいと頼み込むが
小学生は雇えないと...
万策尽きて落ち込むチビ六.その時、
母が靴を買ってくれた。これを...


靴を売ったお金で借金を返した
それでも理不尽な要求が...
チビ六を慰めるチームの仲間たち
右の背の高い子がエース
勇気を出して中学生たちに、
僕はそんな事しません!


監督の娘は同級生だった
選手ではないけれどマネージャー
チームのエース。豪球の持ち主
(結構イケメンです)
リーグ理事長と監督(背中)
理事長はなんと牧冬吉さん
(白影参上!でござる)



※後記
最近の子供たちは野球離れが進んでいるので二死満塁といってもピンとこないかも。サッカーでいえばどうでしょう。
1点差で負けている後半ロスタイム最後のプレイがペナルティーキック...ちょっと違うかなぁ。





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