ばあばは、だいじょうぶ (2018年)

少年映画評価 7点
作品総合評価 7点
少年の出番 100%(主役の1人)
お薦めポイント 次第に呆けていく祖母に寄り添う幼い少年の健気さ
映画情報など 2018年公開。DVD発売中
(写真は寺田心君)


2018年のミラノ国際映画祭の外国映画部門で最優秀男優賞(寺田心)と最優秀監督賞を受賞した作品。その割には国内のテレビや大手メディアの扱いは淡泊でした。映画館での鑑賞を逃してしまい、DVDもなかなか出ず、2020年秋にようやく発売。レンタル店にもなくて苦労しました。

「ばあば ここに寝て」と座布団を2枚敷いた。腰が痛いと言った祖母をマッサージするため。
(こんな子が家にいたら...どんなに楽しいだろう)
■ストーリー

小学生の翼(寺田心)は両親と祖母(冨士眞奈美)の4人家族。喜寿(77歳)を迎えた祖母。翼は、ばあばと呼んで大好きだった。ばあばも毎日学校まで迎えに来てくれるなど翼が大好きだった。

しかし次第にばあばの物忘れがひどくなり、アルツハイマー型認知症と診断された。それでも翼には優しかったが、理解できない行動が増えきた。怖くなった翼はばあばと距離を取る。ある日ばあばが行方不明に。自分のせいだと思った翼は、ばあばの靴を持って探しに出る...

■人生の最後はどうすればいいんだろう...

優しくて人格者だった祖母。物忘れと共に性格まで変わってきて猜疑心や被害妄想。これが彼女の本当の姿だったのでしょうか。正常な時には隠していた本性が表に出てきただけ? そんな風に考えると人生は本当に虚しい。それを救ってくれるのは翼のような肉親の愛だけ。(キレイごと?)

一方で祖母と同居していたのは長男。その妻(翼の母)が一手に面倒をみていますが、文句一つ言わず献身しています。文句を言うのは長男の姉や妹、いわゆる小姑たち。何かあると長男の妻に「あなたちゃんと見てたの!」自分たちは何も苦労せずに文句ばかり。それが正論であっても本当に見苦しい。

じゃあ私がこうなったらどうすればいいのか。本作の翼君のような健気な孫はいませんし。これは本当に難しい問題です。まあなるようにしかなりませんけれど。

寺田心君。幼稚園児くらいにしか見えない小さな身体で、小憎らしいくらいの達者な演技。そりゃ外国人がみたら驚くだろうと思います。最年少で最優秀男優賞。それなのに国内のネットでは罵詈雑言ばかり(ごく1部の方だろうとは思いますけれど)。これから思春期に入ってどんなに化けるのか楽しみな少年俳優です。

ばあばに可愛がられる孫の翼
(他に孫がいるのに翼ばかり...陰口もなんのその)
学校ではいじめられていた。
(同級生より頭1つ背が低い...)


ばあばが学校に迎えに来てくれた。ちょっと過保護
(ついでに苛めっ子を見つけて注意まで...)
ばあばが段々おかしくなってきた。
(寺田君とは思えない表情も見せてくれた)


ばあばが行方不明に。ボクのせいだ...
(泣く演技はお手のもの)
裸足で出た祖母。靴を持って泣きながら探し回る。
(翼が祖母を見つけ出して涙の再開。これがお約束)
(でも見つからなかった。これが現実)



※後記
ミラノ国際映画祭の位置づけはよく判りませんが、結構日本びいきなところがあるのでしょうか。本作翌年の2019年も外国映画部門の最優秀男優賞を日本人俳優が受賞しています。





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