十五才 学校W (2000年)

少年映画評価 B+
作品総合評価 B+
少年の出番 ほぼ100%(年齢は高めですが)
お薦めポイント 横浜、大阪、宮崎、屋久島と少年のロードムービー。
映画情報など 2000年国内公開。DVD発売中。
(写真は金井勇太君。)


学校シリーズ4作。どうもお説教臭い予定調和の内容だろうと勝手に決めつけて、見るのを避けてきました。ところが毎度のことですが、WOWOWで4作が一挙に放送されて鑑賞。ベタベタな内容には違いませんが、さすが寅さんの山田洋次監督。少年(上限ギリギリの15歳)が主役なのは本作だけ。前3作品とはちょっと違う内容で、これは拾い物でした。

パーキングエリアでしゃがみ込む大介。ヒッチハイクは簡単では無いと思っていたら...

15歳の大介(金井勇太)は不登校になって半年。なぜか屋久島の縄文杉が見たくなりヒッチハイクの旅へ。大阪までは気のいいおじさん(赤井英和)のトラック、そこから宮崎日向まで妙齢の女性(麻実れい)のトラック。泊めて貰った女性の家には引きこもりの息子。しかし大介となぜか気が合い、お互いに記念の品を交換し合った。

フェリーで屋久島に到着。ここでも一人旅の女性に連れられてとうとう縄文杉へ。女性と別れた大介は道で会った老人(丹波哲郎)の家に泊めて貰ったが、老人が倒れた。なりゆきで大介は家に滞在して介護。やがて老人の息子がやってきたが、冷たい態度に泣いて抗議。そして大介の旅は終わった。横浜に帰った大介は登校を決心。


とにかく悪い人は出てきません。暴力もありません。これは出来過ぎでしょう。この映画を見た中学生が、こんなにうまくいくなら「俺も家出してヒッチハイクしよう」なんて思うかもしれません。現実はこんなに甘くないと思いますよ。怖い兄ちゃんにカツアゲされて終わり...なんて。

大介を演じた金井勇太君。彼の雰囲気が抜群でした。決して美少年ではありません(スミマセン)が、ニキビだらけの顔に一重瞼の表情が本当に素朴で可愛いのです。「北の国から」や「男はつらいよ」の吉岡秀隆君と同じ雰囲気。やはり山田洋次監督の好みかもしれません。

いかつい顔のトラックの運ちゃん、妙齢の女性ドライバーにも、一人旅のお姉さんにも、一人暮らしの偏屈老人にも可愛がられる大介。また長年の引きこもり息子とも自然な感じで会話できる大介。これは持って生まれた能力なのかもしれません。自分が不登校なのは別ですけれど。

本作の山田洋次監督も、脚本家の倉本聰さんも高齢になられました。これらの方々の後を継ぐような中堅・若手の人情劇作家や監督が出てきて欲しいものです。


大阪まで乗せてくれた、気のいいオッチャン。
朝、コーヒーを淹れてくれた。熱いうちに飲めや...
オッチャンが次のトラックを探してくれた。
最初はとっつきにくい女性運ちゃんだったが。


女性は、大介にこれまでの事全てを語らせた。
聞き上手だった。今晩はうちに泊まっていきな。
屋久島。一人旅の女性のおかげで縄文杉へ。
もうヘトヘト。屋久島は本格的登山が必要です。


老人と一緒にスナックへ。なぜか老人と踊る大介。
まさか翌朝老人が倒れて、大介が介護するとは...
老人の介護は大介にとって嫌ではなかった。でも終わり。
横浜へ戻るフェリー。大介の中で何かが変わった。



※後記
最近は映画館で鑑賞するよりもWOWOWで映画を見ることが圧倒的に増えました。WOWOWの回し者ではありませんが、良作を高画質で放送してくれるのは本当に有難いです。おまけにcopy onceではありますが、合法的にブルーレイに保存できます。高い邦画のブルーレイを買うことを思えば月々の料金は安いものです。やっぱり回し者みたい。WOWOWさん宣伝料ちょうだい!




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