妖怪大戦争 ガーディアンズ (2021年)

少年映画評価 B-
作品総合評価 C(厳しいですけれど)
少年の出番 ほぼ100%(主役です。)
お薦めポイント スクリーンに蘇った大魔神。やや迫力に欠ける。
映画情報など 2021年国内公開。BD/DVD発売中。
(写真は寺田心君。)


2005年の映画『妖怪大戦争』を同じ三池崇史監督がリメイク。娯楽スペクタクルとして期待したのですが、主演の寺田心君に対する心無い雑音も聞こえてきましたので、劇場では鑑賞せず、レンタル開始を待って鑑賞しました。

確かにスケールダウンは否めません。2005年版の神木隆之介君のような美少年ではありませんが、寺田心君も大熱演でした。なんといってもこの時代に冒険するのが少年俳優だけというのが...

妖怪たちに襲われる少年ケイ。手にしているのは秘剣「鬼切丸」
(人形劇みたい。可愛いといえば可愛いのですが、もう少しスタイルのよい少年の方が....)

小学生のケイ(寺田心)は肝試しに行った神社で真っ赤なおみくじを引いた。気持ちが悪くて捨てた。それをこっそり着いてきた弟ダイ(猪股怜生)が拾った。その夜、ケイは妖怪に世界に連れていかれた。古代の妖怪獣が目覚め、日本列島を破壊しながら東京に向かっている。それを阻止できるのは赤いおみくじを引いた少年だけだと。

おみくじを持ったダイもいた。妖怪たちは「お前が本物か」とダイを連れて行った。妖怪獣に勝てるのは大魔神だけ。その大魔神の生贄にするためだ。それを聞いたケイは天邪鬼や狐面の女に助けられながら弟の救出に向かう。しかし弟のダイは大魔神を蘇らせ、妖怪獣との決戦が始まった。さあ東京は...


妖怪獣とは日本列島の地殻運動で地下に閉じ込められた古代妖怪の集合体。妖怪獣はフォッサマグナに沿って太平洋を目指す。妖怪獣は人間の目に見えないので、巨大地震が日本を破壊する災害だった。この辺りを2005年版で少年だった神木隆之介先生が授業してくれました。

そして55年ぶりにスクリーンに復活する大魔神。今は無き大映作品ですが、角川グループが版権などを持っているのでしょう。しかし大魔神3部作を小学生の頃に見た私にとっては、とても満足できる扱いではありません。もうちょっとリスペクトして欲しい。まあ私ごときが言っても仕方ありませんけれど。

さて寺田心君。どんな映画に出ても寺田君は寺田君でしかありませんでした。セリフは達者。演技も十分。でも本作品のようなスペクタクル映画では荷が重い。もう少し手脚が長くないと鬼切丸という刀を振り回せません。弟役の猪股怜生君は出番は少ないけれど、今度は主役で頑張って欲しい。

ケイは渡辺兄、ダイは渡辺弟、死んだ父は渡辺綱。先祖の渡辺綱は平安時代に鬼退治などの伝説がある武将。その血筋を引く兄弟という設定。わざわざ、おみくじを引かなくてもいいのにね。もし別の全く関係ない子が引いたらどうするんでしょう。えっ?現代の出来レースのオーディションと同じだって?

2005年版では悪役の豊川悦司さん、お色気役の栗山千明さん、お笑い役の阿部サダヲさんなど、大人向けの役者さんも印象に残ったのですが、本作はお子様向の色が強い感じです。ただストーリー的にはもう一捻り、二捻りくらい欲しかった気がします。

神木隆之介先生の授業中。先生に指されたケイ。
(右後ろは林凌雅君? まさか、もう青年のはず...)
肝試しに行った神社でケイが引いたおみくじ。
真っ赤。禍々しい血の色みたいで...


妖怪の世界に連れて来られたケイ。
葉っぱで片目を隠すと妖怪世界が見える。
ケイの先祖である渡辺綱より伝来の鬼切丸。
鬼たちにとっては恨み重なる剣のはず...


大魔神の肩に乗る弟のダイ。昭和の大魔神に比べると威厳がなくて、おじさんにはやや不満。

妖怪獣は海へ還っていった。残された廃墟の中で立つダイとケイ。
(東京にあった平将門の結界は無事だったのでしょうか)



※後記
2021年は本作『妖怪大戦争ガーディアンズ』また『都会のトム&ソーヤ』と少年俳優が主役のメジャー作品が公開されましたが、新型コロナ感染の影響を抜きにしても興行成績は芳しくなかったようです。もう当分は少年映画は作られないのではと懸念しています。次の妖怪大戦争は女の子が主役かも。




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