いさなとり (2015年)

少年映画評価 B+
作品総合評価
少年の出番 ほぼ100%
お薦めポイント 中国地方の真ん中にある三次市ののどかな風景。
映画情報など 2015年、PFF入選。DVD等なし。有料配信あり。
写真は田中隼翔君。


2015年のPFF(ぴあ フィルム フェステバル)で観客賞などを受賞。PFF入選映画らしく淡々とした作品ですが、どこか惹かれるものがあります。いさなとりとは捕鯨の意味。海から遠い山の中なのに捕鯨とは。

河原で化石を探すユウタ、ナオヤ、サンシロウ
(地元で中学生役3人を募集。でも集まったのは3人だけ。即決定だったとか)

広島県北部の三次市に住む中学生ユウタ(田中隼翔)は母と二人暮し。夏休みの自由研究でクジラの化石を取り上げる。友人のナオヤとサンシロウも加わって3人で共同研究。まずはクジラの化石採集。これがそう簡単ではない。

ユウタの家に東京から男がやって来た。母の恋人で再婚相手らしい。男とユウタの間に気まずい空気が流れる。一方、友人ナオヤが急に東京へ引越す事に。ユウタは広島で入院中の祖父を一人で訪ねる。帰りのお金が無く、男が車で迎えに来てくれた。ほんの少しだけ二人の距離が縮まった。新学期。ユウタは少し大人になって学校へ。


中国山地の麓の三次市や庄原市ではクジラの化石が出土。それが町おこしの一つにもなっているそうです。ユウタは資料館でしか見た事がなく、自分で採集してみたい。河原や山でハンマーをふるいますが。簡単に見つかるようだと有り難みがありませんし。

最初にユウタを見た時、その顔を見て、こいつは思春期に入って反抗期だらけのワルかクソガキに違いない。そんな失礼な事を思ってしまいました。ところが真逆。こんなに真面目で優しい中学生だったとは。申し訳ありませんでした。

三次市の田畑、山、お祭り。本当に素朴な風景の中で、物語も淡々と進行します。東京から来た母の再婚相手とひと悶着あるのかと思ったのですが、それも淡々。変な暴力や罵倒シーンが全く無いので気持ちよく鑑賞できます。もちろんこれを物足りないと思う方が多いとは思いますけれど。

心や身体が疲れている皆様、こういう作品をみて癒されてみてはどうでしょうか。


母は夜の仕事。ユウタの夕食はいつも一人。
でも食事の前には必ず手を合わす。好感度大。
自由研究分担。ユウタ化石探し。ナオヤ資料調べ。
サンシロウはイラスト作成。3人4脚体制だ。


資料館に行っては化石を見るメンバー。
中国山地でクジラウォッチングとは...
ユウタの夢にはクジラが出てくるが...
ナオヤは引越すし、変な男は来るし...


急に思い立って一人で広島へ行くことに。
交通費はサンシロウたちに借りた。
入院中の祖父は喜んでお小遣いをくれた。
ユウタは祖父の手を両手で握る。お金よりも。
(優しかさが溢れるシーン)


9月の新学期。朝靄の中を一人自転車に乗って学校へ。ふっきれたのか...



※後記
三次にはJRで広島方面(芸備線)、福山方面(福塩線)が繋がっていますが、いつまで持つのか心配です。2018年には島根方面へ繋がっていた三江線が廃止。NHK-BSの「呑み鉄本線日本旅」で六角精児さんが旅していたのを見ただけ。JRがあるうちに三次を旅行してみたいものです。





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