父ありき、母のにおい (2015年)

少年映画評価 B+
作品総合評価
少年の出番 ほぼ100%
お薦めポイント 初めてみる父親に戸惑う少年の表情。
映画情報など 2015年、第7回沖縄国際映画祭で上映。DVD等なし。
写真は田港璃空君。


第7回沖縄国際映画祭の地域発信型映画部門で上映。茨城県の地元映画。私はBSよしもと(ch265)で放送されたものを鑑賞しました。吉本興業が企画した地域発信型映画のDVD-BOX(できればBlu-ray)を発売して欲しい。初期のものは発売されていますけれど。

何だかんだあったラスト。父はユウタと手をつなごうとするが。
まだムリ。ユウタの心の中ではまだ父と認めたくない...(でも一番下の画像をみて下さい)

つくば市でラーメン屋を営む独身の男(芹澤興人)。ある日、元彼女が「あんたの息子だ」と言ってユウタ(田港璃空)を連れて来た。しばらく預かって。ユウタは母に捨てられたと思ったのか始終うつむいたまま。男も気が弱くて戸惑うばかり。ぎこちない父子の生活が始まった。

男はユウタを連れて、同じく娘のいるシングルファーザーの従業員とお見合いハイキング?イベントに参加したり、エキスポセンターに連れていく。ユウタは店で誠実に働く男の姿をみて心を許し始める。これまでの空白を埋めるにはまだまだ時間がかかるが...


ある日突然、息子が現れる。こういうシチュエーションの映画は日本でも欧米でも定番とまではいきませんが、結構あります。昔の豪傑とか大富豪などは、色々な場所でコトを行っていましたので、本人も知らない隠し子は多くいたのかもしれません。

でも普通の人間、特に独身男にしてみれば、身に覚えがない息子が出現するのは困ったもの。いや困ったフリをして実は嬉しい。これは(モテない)男の願望なのかも。ただし...出現する息子は少年でなくてはいけません。間違っても中年男の息子なんかだと...

戸惑う父親を演じた芹澤興人さん。完全にお笑い芸人(スミマセン)。吉本興業の人だと思っていたら、プロの役者さんでした。とにかくこの芹澤さんの演技がいい。ちょっとボケた雰囲気と、真面目で誠実な雰囲気が観客を和ませてくれます。

店の従業員を演じた佐久間一行さんは吉本興業の芸人さん(お笑い芸人顔?ではないかも)。ユウタと同じ年頃の娘を持つシングルファーザー役。父娘ともしっかり者。はっきりしないユウタと父とは対照的。

そしてユウタを演じた田港璃空君。売れっ子の子役だった頃の須賀健太君に似ています。そう思ったせいではありませんが、非常にしっかりした演技や表情に感心しました。ずっと俯いてばかりでセリフも少ないのが残念。もっとはじけるような演技も見たかった。2016年の『エクラド』にも出演しています。


母に連れられて男の家にやってきた。
あんたに似てきた。このままでは虐待するかもしれない。
母と一緒にお風呂に入る。たぶんこれが最後。
酷い言葉を吐いた母だったが、決して本心ではない。


神社が主催するお見合いハイキングに参加した。
(私が大学生の頃は「合ハイ」と呼んでいました)
ラーメン店で働く父を見つめるユウタ。
仕事をする父の姿に尊敬の念がめばえる。


文句をつける客もいたが、父は誠実に対応。
言われた訳でもないが、ユウタは手伝いはじめた。
こんなおどけた笑顔もみせるようになった。
(エキスポセンターで帽子を買って貰った)


ラストシーン。手を繋ぐのを拒否したユウタだったが、初めて手をつないだ。父子の新しい門出に幸あれ...



※後記
BSよしもと。無料放送でレアな吉本興業制作の映画を毎週放送してくれて、本当に有り難いことでした。しかし2023年半ば頃から映画が少なくなってきたのが残念。無料だけに文句は言えませんけれど。地域発信型作品とか、沖縄国際映画祭などの作品を月に1本か2本でいいので順番に放送していただけたら...





▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼第3部トップへ戻る