雨を告げる漂流団地 (2022年)

少年映画評価 B+
作品総合評価
少年の出番 ほぼ100%(アニメですけれど)
お薦めポイント ノスタルジックな団地と少年たち。
映画情報など 2022年公開。BD/DVD発売中。
写真はのっぽ君。主役ではありませんが。


先にノベライズ版の文庫本を読みました。高度成長期に建てられた団地をテーマにした作品が目につきますが、本作のその一つ。劇場公開と同時にNetflix配信。DVDは出ないかもしれないと危惧していましたが、ちゃんとBDとDVDも発売されましたし、今や少なくなったレンタルで鑑賞する事も出来ました。

左から3人目が主役のコウスケ。右端がのっぽ君。その左が主役のナツメ。

主人公は小学6年の少年コウスケと少女ナツメ。以前二人が住んでいた廃団地になぜかナツメは入り浸っている。明日から取壊し工事が始まる日、コウスケはクラスの男子2人に誘われて団地に入る。それを見ていた女子2人もついてきた。また団地の部屋の押入れの中にナツメもいた。

気づくと団地は海の上を漂流している。少年3人と少女3人が取り残されたまま。そこへ不思議な少年が出現。ナツメはのっぽ君と呼んでいた。他の団地やデパートも漂流している。6人とのっぽ君は食料を探し、元の町へ戻る方法を考える。しかしコウスケとナツメは喧嘩ばかり。果たして戻れるのか...


楳図かずおさんの「漂流教室」+昔の「ひょっこりひょうたん島」を合わせたような印象。本作の少年少女たちは、わがままや文句ばかり言っていて、見ている方も嫌気がさしてきます。最後はそれなりに結束していきますけれど。

その中で、団地にいたのっぽ君という謎の少年の存在が映画を引き締めています。いつも静かで前に出る性格ではありませんが、いざという時(例えばナツメが海に沈んだ時など)はさっと出てきて助けます。そしてなぜか70年代くらいの少年ファッション。団地が建った頃でしょうか。

主人公のコウスケとナツメは幼馴染なのに口喧嘩ばかり。ナツメは立入禁止の団地のある部屋の押入れの中に篭ります(これは怖い)。その部屋はコウスケの家族が暮らしていた部屋。なぜかコウスケの亡き祖父がナツメを可愛がっていたのです(実の孫コウスケよりも?)

コウスケの友人2人の男子はサッカー部員で真面目少年。コウスケがのっぽに「なんでそんな短パンをはいているんだ!」と罵倒した時、「他人の服装の事を言っちゃだめだよ」と注意したシーンが印象に残ります。最初はこの2人がクソガキかと思ったらコウスケの方がクソガキでした。

女子2人は超ワガママ女子とその腰巾着の子。ワガママ女子はコウスケを彼氏と思っているのですが、その言動には参りました。ここは早送り。ただ腰巾着と思っていた女子が、実はしっかりした子で感心。こちらを目立たせるために、わざとワガママ少女というキャラを入れたのかもしれません。

今回はネタバレ(結末)は書きません。映画かノベライズ文庫をご覧になって下さい。


コウスケは意地を張って団地の屋上で一人テントに。そっと...のっぽ君がやって来た。
カップ麺とお菓子を持って。「みんなの所へおいでよ。ナツメも心配しているし」


コウスケはのっぽ君を指さして「お前は何者なんだ! なんでそんな短パンをはいているんだ?」
(コウスケ目線のカットですので、コウスケはこちら側。写っていません)


デパートが漂流してきた。食料を探しに行こう。コウスケ、ナツメ、のっぽ君。
(アニメの顔はみんな同じように見えてしまいます。年かなぁ...)

海底で足をとられたナツメを助けたのっぽ君は、最後に上がってきた。2人が引張り上げる。
(実写化して欲しい。でもその時は高校生くらいの設定になりそう...)


ラスト。のっぽ君は自分の世界に戻っていく。これでお別れだ...
(ネットで感想を見ると「のっぽ君推し」の人も結構多くて。続編が欲しいなぁ...)



※後記
登場する少年少女はそれぞれ3人同数ずつ。ジュブナイル作品では特に男女平等を意識しないといけないのかもしれません。のっぽ君がいるので少年4人では? 実はのっぽ君は人間ではなかったので...





▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼第3部トップへ戻る