トマトケチャップ皇帝 (1970年)

作品総合評価 2点
少年の出番 40%(何かよく判りませんが)
寸評 訳が判りません、寺山修司ワールド
【少年映画でない理由】主題不明・エロ要素多い
映画情報など 1970年製作。DVD発売中。


今回は故・寺山修司氏の実験映像ワールドというDVDに収録された作品の紹介です。かなり前ですが、大阪のシネ・ヌーヴォーで寺山修司監督の特集上映があり、ここでは27分の短縮版でした。DVDには、オリジナル完全版として75分の作品が収録されています。

しかし、75分の後半15分間は、明らかに別作品「じゃんけん戦争」が意味なく入っていますし、どうもよく判りません。(「じゃんけん戦争」も、シネ・ヌーヴォーで鑑賞しました。)

本作品は、寺山氏没後の1996年にもオリジナル・ディレクターズ・カット版が製作され、ロッテルダム国際映画祭に特別招待されたとの事です。監督は亡くなっているのに、新たにディレクターズ・カット版なんか作れるのでしょうか。

■ストーリー

どこか架空の国が舞台。その国では憲法が改正され、子供が権力を握り、大人は子供に従う奴隷と同じ存在となった。子供を支配してきた警察官や教師は投獄され、罪の重い大人は全て処刑されることになった。

皇帝は子供であり、彼の好物のトマトケチャップが国の象徴であり、子供へ快楽を与えることが、国民の義務となった。やがて子供たちは、自分の親さえ密告して処刑するようになっていく。これ以上は書けません。というか、ストーリーなんてあるのか、ないのか

■憲法と革命

ナレーションは、この国の憲法の条文を読み上げます。皇帝は神聖にして侵すべからず・・どうやら大日本帝国憲法をパロディー化した感じです。1970年ですから、反戦運動やら学生運動も盛んだったのでしょう。私はよく知りませんが。

一方で、教師や知識人を弾圧するのは、中国の文化大革命か、カンボジアのポル・ポトの共産原理主義のパロディー化でしょうか。寺山修司氏がどんな思想の持ち主だったのかは判りませんが、そんな時代だったのでしょう。

■何でも有りのエロ・グロ映像

政治的なパロディーもありましたが、寺山修司ワールドの本領は、エロ・グロ・ナンセンス。ついて行けません。本作品に出てくる大人で、まともに服を着ている人は、ほんの一握り。全裸の男女も登場。女性の局部は、露出オーバー(画面が白く飛んでいる)で、あまり見えないのですが、男性の局部はそのままなので、大変気持ち悪いのです。

裸なんか全く見たくありません。人間の裸体が美しいと思うのは、絵画や彫刻だけの世界で、映像では醜い感じしか受けないので、困ったものです。

皇帝は女性とも遊び放題
皇帝はこども(フィルム白飛び)
娼婦たちに逆襲されるこども皇帝

■あの法律が心配です?

子供の国が舞台ですが、映画のエンドロールには「70人のこどもたち」と書いてあるだけで、誰が演じているのか、さっぱり判りません。大人の出演者も、サルバドール・タリ(ダリではありませんよ)、アポロ太郎、とかふざけた芸名ですので、アングラ役者さんだろうと思います。

少年俳優や劇団の子役さんではなく、普通の子供達が演じていたのかもしれません。しかし、かなり過激なシーンもあります。芸術なのか、ポルノなのか、寺山作品はかなり微妙です。今の時点(2014年6月)でも、まだDVDは販売されているようですし、国際映画祭にも招待された作品ですので、芸術作品と考えていいのでしょうか。

「単純所持」も処罰される時代になりそうです。いや、この「トマトケチャップ皇帝」の荒唐無稽な国の話も、あながち架空では無くなってきました。まあ、そんなに拘るほどの作品でもありませんので、いつでも廃棄します。少年映画に裸は全く不要です。

少年らしい夢、希望、ちょっと切なさ、儚さをストーリーで表現して欲しいものです。でも、面食いでもありますので、できれば美少年で。





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