猫の手 / エドちゃん (オモヒノタマ・念珠より) (2003年)

作品総合評価 4点
少年の出番 100%(9話中2話で主役、準主役)
寸評 テレビ番組レベルかな。
【少年映画でない理由】映画主題が少年ではない
映画情報など 2003年制作/DVD発売済
(写真は「猫の手」主役の栩原楽人君)


リング、呪怨、着信アリ・・など邦画ホラー映画が注目された時代でした。特にワンパターン化したハリウッド製ホラー映画が飽きられたせいなのか、アメリカやアジアでも公開されたようです。そんな背景の中で衛星劇場というテレビ局が中心になって、作られたのが「オモヒノタマ・念珠」でした。

映画館での公開は2004年。渋谷のシネ・ラセット(残念ながら2008年閉館)のような超ミニシアターで、しかもレイトショーだけの公開だったと記憶しています。結構、豪華な俳優を使っていますが、元々から映画館公開ではなく、有料放送やDVD主体の営業戦略だったのでしょうか。

■猫の手(八ノ珠)

このオムニバスで一番期待していたのが本作。TVで活躍していた子役の栩原楽人君が主役でした。

中学生の章太(栩原楽人君)は苛められっ子。今日もクラスの悪ガキに殴られてしまった。そんな章太が夜中にネットで見つけた秘密のサービス「お助け、ニャン太」

アニメのニャン太が3つの願いを叶えてくれるという。早速契約し、悪ガキをバラバラにして欲しいと依頼。するとビックリ、悪ガキは悲惨な死を遂げる。次は喧嘩ばかりしている両親を消してと依頼。両親は爆弾事件の犠牲に。怖くなった章太は、両親を戻してと、最後の依頼をするが。

<所感など>

これは、英国のW・W・ジェイコブズ氏の有名なホラー小説「猿の手」(原題:The Monkey's Paw)をそのまま脚色したものです。この作品に限らず「3つのお願い」パターンのものは沢山ありますので、一つのジャンルと言っていいかもしれません。

さて栩原君、こう言っては彼に悪いのですが、苛められっ子キャラがピッタリはまっています。それだけ、演技力やセリフがしっかりしているという実力があるからでしょう。

でも作品としてはモノ足りません。それはこの作品の半分近くがアニメで構成されているからです。アニメ好きの人にはいいのかもしれませんが、私としては実写の栩原君をもっと見たかった、というのが本音です。その上、短い出演時間の大半が暗い室内シーンだったのも、不満が残ります。

栩原楽人さん、その後、高校生くらいになっても童顔の容貌は変らず、色々な映画に出演されたようです。またテレビでは、特撮番組「仮面ライダー響鬼」で準主役、今放送中のNHK大河ドラマ「龍馬伝」でも活躍中のようです。これからどんな役者になっていくか楽しみな若手俳優の1人です。


■エドちゃん(六ノ珠)

当時、東京の多摩川などに迷い込んだ「タマちゃん」騒動などを揶揄的に風刺したホラー。

東京 江戸川にアザラシに似た珍獣エドちゃんが出現。マスコミの取材が過熱する中、住民は、エドちゃんを救う会を作って保護運動を開始。会長の佐久蔵(笑福亭松之助師匠)が先頭に立って運動するが、孫の生男(後藤一成君)の様子がおかしい。

エドちゃんに敵意を見せる生男。そんな子供に当惑する周りの大人たち。ある日、江戸川で一人が行方不明に。その翌日、エドちゃんが2匹になっていた。そしてどんどん増えるエドちゃん。やがて本性の牙をむき出した。エドちゃんはエイリアンのように次々と人間を襲い始めたのだ!

そこへ立ち塞がったのが生男!幼い生男がエドちゃんを睨み付けるとエドちゃんは破裂。超能力少年だったのだ。エドちゃんが全滅した時、生男も力尽きてしまった。佐久蔵が涙で抱きしめたが、すでに

<所感など>

上方落語家の重鎮・笑福亭松之助師匠が主役です。関西人で江戸っ子を演じるのは少々違和感もありましたが、それなりに頑張っていました。経歴を見ると映画には何本も出演しているようですので、貫禄は十分でした。

後藤一成くん、少年俳優と言うにはまだ幼い子役ですが、彼も立派に不思議少年を演じていました。最後に死ぬのは残念ですけど。評価の高い韓国映画「グエムル 漢江の怪物」とは当然、全く別ものですが、その前に、この小品があったというのも面白い気がします。(比較するような作品ではないのは重々承知です。)

各9話とも短いメイキングがありましたが、この「エドちゃん」のメイキング、子役の後藤くんを全く無視しているのが残念。一言でも感想やコメントくらいあってもいいと思いますけど。

■まとめ

私はDVD−BOXを入手して全話鑑賞。どれもそれなりに楽しめましたが、感動したり、余韻が残るような作品ではハナからありません。まあ、昔テレビで放映していたという「ミステリーゾーン」や「怪奇大作戦」(レンタルビデオでしか見たことありませんが)のようなものでしょうか。

そういう意味で、この作品を「少年映画」ではなく参考作品としてレビューしました。DVDを買ってまで見る価値は?ですが、レンタルや中古ショップで投売りされていれば、どうぞご覧になって下さい。






▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼第5部トップへ戻る