博士の愛した数式 (2005年)

作品総合評価 6点
少年の出番 30%(重要な役なのですが)
寸評 数式をこじつけて楽しむ映画
【少年映画でない理由】出番が少ない事
映画情報など 2005年公開/DVD発売済(写真は齋藤隆成君)


第1回本屋大賞、また読売文学賞を受賞された、小川洋子さんのベストセラー小説を、小泉堯史氏が監督された作品です。寺尾聰さん、浅丘ルリ子さん、吉岡秀隆さんなどの大物俳優が出演する鳴り物入りの映画でした。

<ストーリー>

ルートとあだ名された先生(吉岡秀隆さん)の回想で映画は始まります。ルートが10歳(齋藤隆成君)の頃。母(深津絵里さん)は家政婦をしながら、息子を育てている母子家庭でした。母は、ある数学博士(寺尾聰さん)の家に雇われるが、博士は交通事故の後遺症で、記憶が80分しか持続しないという。博士には未亡人の義姉(浅丘ルリ子さん)がいて、家を取り仕切っている。

博士は、毎回、母のことを非常に気に入り、数式のマジックを伝授するなど、打ち解けるが、翌日には忘れてしまい、また最初の自己紹介からの繰り返し。あるとき博士は、彼女に息子がいることを知り「母子が離れているのは教育上よくない」と言って、博士の部屋へ連れてくるよう命令する。次の日から、博士と母と息子の3人の奇妙な生活が始まる。

博士は、息子の頭の形が「平方根の記号」に似ていることから、ルートと呼び、母親と同様に非情に可愛がってくれた。ある日、ルートの少年野球の応援に駆けつけた博士は、熱中のあまり倒れてしまう。母は責任を感じ、2晩も泊り込んで看病し、なんとか回復する。

しかしこの件で、義姉の怒りを買い、母は解雇されてしまう。母は抗議をするが、取り合って貰えない。3人で暮らした奇妙で楽しい生活を思い出しながら、別の家で働く母。ところがある日、博士の義姉から連絡があった。また来て欲しいと。

■齋藤隆成君

ルートの子供時代という重要な役を演じたのは、齋藤隆成という子役さんでした。成人になったルートを演じた吉岡秀隆さんと齋藤くんは、非情に雰囲気が似ており、違和感は全くありませんでした。吉岡さんによく似た子役ということで選ばれたのでしょうか。

しかしながら、映画の中で齋藤君の比重は小さく、寺尾聰さんと深津絵里さんの間に完全に埋もれてしまっています。またセリフも少しぎこちない感じでした。

どうも監督さんは、寺尾聰さんなどの大物俳優が出演されている訳ですから、どうしてもそちらの方に気を使ってしまい、子役まで演技指導の手が回らなかったのでは、と邪推しています。映画関係者なら、寺尾聰さんの父親で、俳優界の超重鎮だった宇野重吉さんの影をどうしても思い出してしまうのでしょうか。

そういう意味で、この映画を少年映画と認定することは出来ませんでした。でも、齋藤隆成君、何となく魅力のある子役さんでしたので、少年俳優のうちに何とかいい作品に出て欲しいものです。

■おまけ

この映画で出てきた数式のお遊びの例。
完全数:約数の総和がその数になる。例えば28(=1+2+4+7+14)
おまけに28は、元阪神タイガースの江夏選手の背番号だって。

その他にも友愛数とか、何かいろいろありました。これをネタ(これだけをネタに)小説を書いたのでしょうか。まあ面白いといえば面白いかもしれません。






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