ルートとあだ名された先生(吉岡秀隆さん)の回想で映画は始まります。ルートが10歳(齋藤隆成君)の頃。母(深津絵里さん)は家政婦をしながら、息子を育てている母子家庭でした。母は、ある数学博士(寺尾聰さん)の家に雇われるが、博士は交通事故の後遺症で、記憶が80分しか持続しないという。博士には未亡人の義姉(浅丘ルリ子さん)がいて、家を取り仕切っている。
博士は、毎回、母のことを非常に気に入り、数式のマジックを伝授するなど、打ち解けるが、翌日には忘れてしまい、また最初の自己紹介からの繰り返し。あるとき博士は、彼女に息子がいることを知り「母子が離れているのは教育上よくない」と言って、博士の部屋へ連れてくるよう命令する。次の日から、博士と母と息子の3人の奇妙な生活が始まる。
博士は、息子の頭の形が「平方根の記号」に似ていることから、ルートと呼び、母親と同様に非情に可愛がってくれた。ある日、ルートの少年野球の応援に駆けつけた博士は、熱中のあまり倒れてしまう。母は責任を感じ、2晩も泊り込んで看病し、なんとか回復する。
しかしこの件で、義姉の怒りを買い、母は解雇されてしまう。母は抗議をするが、取り合って貰えない。3人で暮らした奇妙で楽しい生活を思い出しながら、別の家で働く母。ところがある日、博士の義姉から連絡があった。また来て欲しいと。