ゴーグル (2005年)

作品総合評価 4点
少年の出番 100%(主役ですが)
寸評 虐待と暴力。とても許容できません。
【少年映画でない理由】暴力表現
映画情報など 2005年公開。DVD発売中。


この映画が公開された時から気にはなっていたのですが、虐待がテーマであること、そして映画のチラシやポスターに出ている主役少年の顔。ゴーグルなんでしょうが、ヤクザのサングラスみたいで、人相が悪く、見る気がおきませんでした。

そして、存在すら忘れていたのですが、大阪の中古ビデオショップで、新品なのに超破格値で投売りしていたDVDを見つけて、思わず購入。そして鑑賞したのですが。

■ストーリー

小学生のハルキ(タモト清嵐(そらん)君)は、両親と3人暮らし。この父親がとんでもない奴で、外ではタダの下っ端労働者、家へ帰って来ると暴君に。毎日、ハルキに難癖をつけては、暴力をふるう。

全身アザだらけ。特に目の周りの青たん、赤たん(花札じゃありませんよ、アザのこと)を隠すため、ゴーグルをつけて学校へ行く。でも先生は特に問題にもしない。食事も満足に貰えていないので、万引きしてパンを食べる日々。

暴力は連鎖を生み、ハルキは学校でからかってきた相手を殴る。暴力への自制心を無くしそうになる自分に気がつくハルキ。そんなハルキの唯一の友達が、クラスの美少女カツキ。裕福な家に育った彼女もまた、家庭の問題に悩んでいた。大地震が来て、津波でみんな流されてしまえばいい。これがハルキの切なる願いであった。

そんなある夜、父の暴力に耐えかねたハルキは、父に反撃し、家を飛び出した。折しも塾帰りのカツキと会い、二人は海を目指して歩いていく。ハルキが、まだ見たことのない海へ。津波が来る海へ。

■暴力は感染症のようなもの

それにしても、利重剛さん演じる父親は、本当に腹立たしい限り。思わずバットで殴り倒してやりたい!そんな殺伐とした気分にさせられます。映画の暴力感情が、見ている自分にまで感染してしまう。

実を言えば、感染するのではなく、元々自分の内側にあった暴力や殺伐とした感情が、映画によって表面に浮き出てくる、そんな自分の嫌な面を見せつけられるので、暴力映画が苦手なのです。

本作品主演のタモト晴嵐君。どうしても、彼に感情移入しにくいのです。やはりゴーグルをつけた顔が、ヤクザっぽく見えるのです。またカツキ役の野原瑠美さんが美少女過ぎて、どうしても彼女にばかり目が行くのです。これは監督さんも同じなのでしょう。カメラは、野原さんのアップを多用しています。

少年映画ファンとしては、この辺りに不満が残ります。でもタモト君のせいではありません。そんな演出なのでしょう。彼はよく頑張っていたと思います。

女の子には優しいハルキ
顔のアザが痛々しいハルキ

■トリウッドのプロデュース作品

さて本作品は、東京・下北沢にあるミニシアター「トリウッド」が製作に絡んでいるようです。独立系の映画会社がどんどん解散していく中で、こんなミニシアターが映画製作を推進してくれるのは、非常に素晴らしい事です。

この映画館は3回ほど行きましたが、観客は数名。いつ閉鎖するか心配でしたが、まだまだ頑張っておられるようです。ただ、トリウッドが製作を補助する映画は、どうもセーラー服の少女映画が主体。これはトリウッドの代表の方の趣味なのでしたら仕方ありません。

過去作品の中では映画「プライス・タグ」が好きだったのですが、この作品だけDVD化されていないのが残念です。






▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼第5部トップへ戻る