沈まぬ太陽 (2009年)

作品総合評価 7点
少年の出番 5%(印象には残るが)
寸評 ドラマとしては見応え十分
【少年映画でない理由】出番が少ない事
映画情報など 2009年公開/DVD発売済(写真は北村匠海君)


2009年10月24日、ワーナーマイカルシネマズ大日(大阪)にて鑑賞。

40日以上映画館に行っていなかったので、ちょっとストレスが溜まっていました。少年映画ではありませんが、話題の「沈まぬ太陽」をみてきました。200分以上もある長時間作品ですので、固いシートや首の痛いような古い映画館は避けて、ゆったりしたシネコンへ行きました。

時間を感じることなくドラマに引き込まれる、いい作品でした。途中で10分休憩があり、トイレの近い私は助かりましたが、トイレ問題さえなければ休憩不要なくらいです。

御巣鷹山の日航機事故(映画では国民航空という架空の会社でしたけど)の緊迫したシーンからの導入部分は、観客の心をグッとつかむ戦略でしょうが、これに見事にはまりました。昨年公開の「クライマーズハイ」とダブりましたが、子ども1人で搭乗する少年(吉川史樹君)が亡くなってしまうのが痛ましいです。

■ストーリー

国民航空(日本航空がモデルなのは明白)の恩地(渡辺謙さん)と行天(三浦友和さん)は同期入社で、ともに労働組合の委員長、副委員長と、職場の改善に取り組んできた。しかし経営幹部から疎まれた恩地は、海外へ飛ばされる。しかも開発途上国で環境が過酷な国ばかり。

一方副委員長だった行天は、経営幹部に尻尾を振った結果、取締役に昇進し、かつての仲間だった恩地に対して、厳しい態度を見せる。どんな国でも誠実に勤めた恩地は、現地での信頼を獲得するが、それが気に入らない幹部は、恩地を次々と条件の悪い国へ飛ばす。そんな時、航空機墜落事故が起こった。


海外赴任先での家族。先頭は北村匠海君
■壮大なストーリーに引き込まれます

渡辺謙さんの渾身の演技が本当に心に入ってきます。渡辺さんのような本当の男が主役の日本映画は土台がしっかりしています。最近のイケメンというやつ、30歳を越えてもジャニーズのようなひ弱な少年ぽい男優では、決して出せない味です。(私は少年俳優は好きですけど、20を越えてなお少年ぽいのは、やはり苦手です。)

しかし、会社と労働組合の描き方はちょっと一方的過ぎるように思います。確かに高度成長期の企業は、闇の世界や不当行為も日常茶飯事だったと思います。一方の組合もこの映画に描かれているような「正義の味方」だったでしょうか?特に社員とは関係ない政党・団体が介入してきて、組合側もドロドロの状態だった事も描くべきだと思います。

少年俳優として目を引いたのは、主人公の恩地の息子を演じた北村匠海君。出番は少ないものの、気品ある坊ちゃん刈りヘアーに色白の顔、何より少年にしては眼光が鋭いため、妖艶な美少年でした。じっと見つめていると、憑かれてしまいそうな悪魔的な感じさえします。北村君が今の美少年のうちに、是非とも主演映画を作って欲しかった。

最後に一つ、元祖イケメン俳優の加藤剛さんを久し振りにスクリーンで見たのですが。あまりの老けぶりにショックを受けた事です。加藤さんといえば日本を代表するインテリ系の美男俳優でしたのに。失礼な言い方ですが、骸骨がすけてみえるような容貌が痛ましい。(女優さんなら70歳でも若さを保っている人はいくらでもいるんですけど。男性はやっぱり、これも仕方ない事でしょう)






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