酔いがさめたら、うちに帰ろう (2010年)

作品総合評価 4点
少年の出番 5%(ほんの少し)
寸評 アルコール病棟の様子は興味深々。
【少年映画でない理由】出番が僅か
映画情報など 2010年公開/DVD発売済


鑑賞日:2010年12月10日、テアトル新宿(東京)にて鑑賞。久し振りの東京出張。仕事が済んだ後、すぐに新宿に直行して、夕方の上映に何とか間に合いました。テアトル新宿は好きな映画館の一つですので、迷わずいつもの席を指定。

映画は、カメラマンの鴨志田穣氏の同名の著作を、ほぼ忠実に映画化したものです。(というより、マンガ家の西原理恵子さんの夫といった方がいいのでしょうか)私は直前に文庫化された原作を読んでおりましたので違和感なく見れました。でも読んでいない人はどうでしょうか?ちょっと「あっけない」かもしれません。

■ストーリー

世界をまたにかけて活躍してきたカメラマンの塚原(浅野忠信さん)は、これまた有名な女性漫画家と結婚し、2人の子供に恵まれていた。しかし塚原はアルコール依存症(昔流に言えばアル中)。それがもとで離婚。ここで一発祈念して依存症を治療しようと、アルコール依存症病棟へ入院する。別れた妻子も心配する中、果たして依存症は治るのでしょうか。

■これだけで、ストーリーにするのは困難な題材

原作は小説ではなく、実際の体験談を綴ったエッセーに近いもので、ドラマ的な要素は少ないものです。そのため、映画化にあたって脚本をどのように工夫するのかと思っていたのですが、ストレートでした。

浅野忠信さん演じる主人公はアル中。何回も血を吐き、死の一歩手前。それで入院して治療する訳ですが、結果的には間に合わなかったのでした。原作や映画では、ユーモアを交えて明るい雰囲気ですが、よく読んでみると「死への闘病記」であり、本当は辛いものだったんだろうと思います。

離婚した元妻の西原理恵子さん(永作博美さん)と、2人の兄妹役の藤岡洋介君、森くれあさん、いい雰囲気の家族を演じてくれました。酒乱で暴れる父、それを涙目でみつめる娘。そこへお兄ちゃんがやってきて、妹の肩をそっと抱き「見ちゃいけないんだよ」と連れ戻す。お兄ちゃんの仕草が健気でした。

映画館のポスターに「帰りにはぜひカレーライスを食べて下さい」と、監督のコメントが手書きで書かれていました。その意味は・・やっぱりネタバレは止めておきます。映画を見て下さいね。普段、当り前と思っているもの、それが無くなった時に初めて判るんですね。カレーライスだって。

結論から言ってしまうと、わざわざ映画にする程の作品でもなかったかもしれませんが、たまには、こんな作品もいいのではと思います。アル中、いやアルコール依存気味のあなた、まず原作の方を読みましょう。






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