わさお (2011年)

作品総合評価 2点
少年の出番 25%(重要な役ですが)
寸評 あまりに杜撰な脚本。もっと勉強を
【少年映画でない理由】出番が少ない事
映画情報など 2011年公開。DVD発売中。(写真は伊澤柾樹君)


2011年7月16日、タナベキネマ(大阪)にて鑑賞。本年3月公開のおイヌ様映画ですが、大阪南部の下町にあるタナベキネマで2本立て上映。もう1本は既に鑑賞済の「ワラライフ」なので、今回は本作だけ。パチンコ店の2階。券売機で1200円の入場券を買い、レトロですが意外にも清潔感が漂う館内へ。

■ストーリー

秋田県のある町。セツ子(薬師丸ひろ子さん)は白い犬を拾った。わさおと名付けて飼い始めた。近所の小学生のアキラ(伊澤柾樹君)が、わさおに一目惚れ。わさおと一緒に過ごすようになった。しかし事情があって、わさおは捨てられて東京へ。

しかし、わさおは主人であるアキラの事が忘れられず、脱出して、はるか東京から、秋田のアキラのもとへ長い長い旅を続ける。


■あまりに、あまりなストーリー

どんな出来の映画であろうとも、作っていただいた方々に感謝する心は忘れません。また映画が始まれば、どんなにレベルの低い出来であろうとも、その世界に入り込み、楽しむよう心がけています。その意味で、本作品も決して見た事を後悔はしませんし、楽しませて頂きました。

その上で感想を述べさせていただければ、これは映画と呼べるレベルに達していないと言わざるを得ません。あくまで私の個人的な主観ですけれど。

実在する「わさお」という犬に、ストーリーをこじつけた。こじつける事は問題ありません。その物語をどれだけ推敲し、観客が納得するような完成度にするのか、ここが脚本家や監督の腕の見せ所のはずです。その努力の跡がほとんど見えないのです。学生や素人が町内会で演劇をするので、酒を飲みながらワイワイと適当にスジを書いていった、そんなノリしか頭に浮かんできません。

この物語の主軸は、わさおと飼主の少年(伊澤柾樹君)との再会だと思うのですが、その主軸が非常に弱いこと。どうでもよい枝葉の、お笑い3人組老人、トライアスロン青年、お祭り中学生の、無駄な無駄な映像が長すぎてまるでバラエティ番組。

ラストまで無駄に引っ張った、少年とわさおのご対面も、あまりに白けすぎ。涙のご対面。さあ、これから少年とわさお、また一緒に生活していけるんだと思ったら。エンディングは、わさおと薬師丸ひろ子さんのツーショット。わさお、ご主人様を鞍替えですか?お前は少年に会うために東京から秋田までやってきたのではないの?

気になったのがフィルムのコントラストの弱さ。これは映画館の映写機のせいでしょうか。まるで退色してしまった昔のカラー写真のような眠い色で、ストーリーの退屈さを増幅させているかのようでした。

少年俳優としては伊澤柾樹君の他に井之脇海君もいたのですが、全く役不足。もったいない。あと、薬師丸ひろ子さん、尾美としのりさんの懐かしい顔ぶれ。この2人となると大林宣彦監督でしょう。大林さんが監督していたら、こんなベタな物語でも、テンポが全然違い、いい作品になったかも。

また辛口になりました。もちろんこんな作品があったって全然構いませんが、次はもっと納得性のある脚本にして再チャレンジして欲しいものです。






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