かみさまとのやくそく (2014年)

作品総合評価 4点
少年の出番 50%(男子出演者多し)
寸評 大変興味深いが、説得力に欠ける
【少年映画でない理由】主題が少年ではない
映画情報など 2014年公開。DVD/BD未発売。


「胎内記憶を語る子どもたち」という副題に誘われて、東京へ行った時に鑑賞。渋谷の東急百貨店から少し奥に入った雑居ビルにある映画館UPLINK。日曜とあって入口には何人もの列が出来ていました。さすが東京、この手のミニシアター映画でも盛況です。

狭い事務所の部屋に、小さなスクリーンと椅子を置いて映画館に改造。最前列の椅子は海辺にあるようなビーチチェアで寝てしまいそうです。椅子の高さを工夫して、スクリーンを見やすくしている努力は、大したもの。

■映画の概要

ドキュメンターですのでストーリーというのも変ですが、ざくっと概要だけ。ある産婦人科医師の先生が、胎内記憶を持つ子どもたちの研究をされており、その先生による子どもたちへのヒアリングから始まります。

最初に登場したのが、幼稚園児くらいの子(女の子かも)。「生まれる前はどんなところ?」に対し「わからないけど、大仏様がいた。他の赤ちゃんもいっぱいいた」「大仏様の前にあるテレビに映ったお母さんを見て、この人のとろへ行こうと思った」とかなりリアルな証言です。

誰かに言わされている(ヤラセ)のか、ちょっと判りません。幼児はお母さんの胎内いたことを覚えている、でも成長するにつれて忘れていく、なんて聞いた事があります。そんなバカな。でもあるのかも、なんて思っていました。

一方、かなり成長した兄弟も登場。兄は中学生で「生まれる前から、この弟と一緒に生きていくことを決めていた」と語ります。前世で何かのし残した事があり、二人で成就するため、先に生まれた自分が、弟を呼び寄せた、みたいな話でした。

弟は小学6年生くらい。自信たっぷりに見える兄にくらべると、ちょっと当惑そうな表情を浮かべます(いかにも少年っぽい表情なので印象に残りました)。しかし話す内容はすごい。前回の生では自死(自殺ではなく、自死という言葉が引っ掛かります)したので、あの世では真っ暗な「反省部屋」に入っていたそうです。

それで、今生きているのは前回できなかったことを行う(命を全うする)という明確な意思を持って生まれてきたそうです。これが本当なら素晴らしいことだと思います。そんな崇高な目的を持っている兄弟ですが、インタビューが終わった後の様子は、その辺の思春期の少年と同じように、ウザそうに兄を見る少年の目が可愛かったですけど。

■思ったこと(真偽はおいといて)

この映画の作り手は、子ども、というか人間は、みな前世で出来なかったことを行うという目的を持って生まれてきているはず、それが「神様との約束」と言いたいのかもしれません。もし、この世の全員がその約束を覚えていたなら、どうなるのでしょうか。

もっと素晴らしい世の中になっているだろうと思うのは私一人だけではないはずです。なぜ、そんな大事なことを、神様は忘れさせてしまうのでしょうか。非常に非効率的な話です。もちろん神様には、我々下賎の人間には判らない崇高な理由があるのだろうと思います。

生まれる前は大仏様の前にいたという幼児
前世は自死したので、今回は生を全うする

■その他

真偽は別として、前世や胎内記憶を語る子どもたちのインタビューは、非常に興味深いものでした。しかし本作品の6割を占めるのは、また別の「赤ちゃん教室」の中での活動の様子。

赤ちゃんとコミュケーションが取れるという御婦人がおられ、彼女の教室での取り組みが、延々と続きます。言っておられる趣旨は判るのですが、少し感情論的でくどい感じがして、食傷気味です。はっきり言って、彼女の紹介は10分程度にして、もっと子どもたちにフォーカスを当てて欲しかった。

全体的に、ある特定の宗教団体がバックにいるとか、末世思想を押し付けて何かを売りつけるような感じはしませんでしたので、見て害はないように思います。ご興味のある方は、是非ご鑑賞下さい。






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