■ソロモンの偽証 後篇・裁判 (2016年)

作品総合評価 5点
少年の出番 60%(準主役をはじめ出演者多数)
寸評 裁判は無事終了。でも救われない少年が一人
【少年映画でない理由】少女映画である事
映画情報など 2015年公開。DVD/BD発売中。
写真は死んだ中学生役を演じた望月歩君


少年映画ではありませんでしたが、前篇の出来が良かったので、平日の夜ですが、仕事が終わってから見に行きました。前篇に比べると前評判が低いせいか、観客はごく僅か。2時間半もある長編なのに、鑑賞前にトイレに行き忘れ、途中仕方なく中座するはめに。(これから見られる方、鑑賞前にお手洗いを忘れずに)

試写会での挨拶。後列、大人の役者さんが切れていてすみません。右から二人目の望月歩君の表情がステキ。
■ストーリーは省略。出演者は頑張りました。

前篇で謎の死を遂げた中学生の真相を究明すべく、中学生だけの裁判が行われた。死亡した少年の言動や行動を警察顔負けの捜査。また裁判官役の神原が、死亡した少年と友人であったこと。容疑者と目された不良少年が無実であることは証明が進んだが、中学生死亡の真相はどうなったのか。

■ストーリーは完結に向かうのですが

前篇で辛口批判した神原少年役の板垣瑞生君。結論から言えば、後篇は彼が主役でよく頑張りました。まあセリフは裁判での質問など「読む」場面が大半なので、棒読みでも違和感なかったのは幸いです。彼はイケメンですが、俳優には向いていないかも。(所属事務所スターダストプロモーションで、男子アイドルユニットに入っていると聞きましたので、そっちの方へ進むべきでしょう)

やはり特筆すべきは藤野涼子さん。後篇はストーリー的には板垣君の方が主役なのですが、存在感が違います。やはり成島監督が惚れ込んだだけの逸材でしょう。その他の出演者では、判事役の西村君がハリーポッターみたいで好演でした。女性陣ではニキビ少女の母役を演じた永作博美さん、何ともいえず嫌で不快な母親役でしたが、印象に残りました。

前田航基君は似合わない東京弁がマイナス。彼の演じた役は原作ではもっとキーマンだったそうですが、全てカットされて完全な端役になったそうです。成島監督が出演者に送るコメントで、端役になった事を彼に詫びていました。

■納得できないこと。

さて、本作でどうしても納得できないことがあります。裁判が終わった後、主人公たち中学生も傍聴人たちも「終わったね」と晴れ晴れした表情で帰っていきます。まるで米映画「十二人の怒れる男」のラストシーンみたいに。ちょっと待って下さい、これは何のための裁判ですか。死んだ柏木君の事はなんにも解決していないじゃありませんか!

ネタバレになりますが、前篇で登場した不良少年、事故で死んだ松子ちゃん、ニキビで悩んだ樹理ちゃんなど、後篇では、みんなそれぞれ解決や出口が見えてきます。でも死んだ柏木君については、全く誰も関心を示しません、寄り添いもしません。彼は単なる精神の病んだヤツとして切り捨てられて終り。

なぜ心を病んだのか。なぜあんな目をしていたのか。死ぬ前に神原君に横暴な事を言いますが、神原君が去ろうとすると慌てます。本当は彼に側にいて欲しい、Stand by me!じゃなかったの?そんな想像が膨らみましたが、一切なにも描かれません。このままでは、柏木君は悪霊となって、呪怨の伽椰子、リングの貞子みたいに学校を彷徨い歩くのではないでしょうか。

■気になった少年俳優、望月歩君

実は、柏木君役を演じた望月歩君が妙に気になったからでした。少し舌ったらずで滑舌はよくないのですが、彼のしゃべり方には妙な色気があり、役者としての存在感は板垣君よりずっとあります。もうちょっと活用しても良かったのでは。ねえ監督さん

本作品とは関係ありませんが、NHK「461個のありがとう〜愛情弁当が育んだ父と子の絆〜」での高校生役を演じた望月君の演技にやられました。とにかく可愛かったです。ソロモンの偽証と、NHKドラマの発表シーンの写真を掲載して、本レビューを終わります。

      左は、NHK「461個のありがとう」制作発表から。可愛いです。
右は、本作品の舞台挨拶より。これも笑顔が非常に可愛いです。





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