東京タワー オカンとボクと、時々、オトン (2007年)

作品総合評価 6点
少年の出番 5%(幼少期のみ)
寸評 男はいくつになってもマザコン
【少年映画でない理由】出番が少ない事
映画情報など 2007年公開。DVD発売中。
(写真は、少年時代役の田中祥平君)


リリーフランキーさんの人気小説の映画化。映画化の前に(すでにレビューしました)TVドラマ版が放送されました。TVドラマの方はフジTV系列、映画の方は日本テレビ系列が製作に関わっています。

本作は映画作品だけに、制作費も潤沢で俳優陣も豪華ですが、TVドラマ版の方が良かったように思います。といってもそんなに差はありません。いずれにせよ、少年映画、少年ドラマとは全く呼べません。

いい加減なオトンだったが、ボクには優しい時もあった
■ストーリー

3歳の時、ボク(谷端奏人君)は、オカン(内田也哉子さん)の実家である炭鉱町に逃げてきた。オトン(小林薫)のあまりにいい加減な生活に、オカンが愛想が尽きたから。ただし離婚まではしていない。そこで母に溺愛されながら、少年時代(田中祥平君)を過ごした。

やがて中学、高校生(冨浦智嗣君)と青春時代もオカンと二人で生活したが、大学は無理をいって東京の美術大学に進学し、オカンのもとを離れて行った。大人になったボク(オダギリジョーさん)は、なかなか芽が出ず貧乏生活をおくるが、やがて少しずつデザインや著作の仕事が認められ、一人前になれそうだった。

そんな時、オカンが重病にかかったと聞き、ボクはオカン(樹木希林さん)を東京に連れてくることにする。約束だった東京タワーにも登る。オカンは東京でボクと生活するが、やがて病魔は・・

■樹木希林さんの鬼気迫る演技

ドラマ版とは微妙にストーリーが異なります。オダギリジョーさんは、情けない役を熱演していますが、生来のカッコ良さがあって、今一つ共感が湧かないのは、私のヒガミかも。その分、樹木希林さんの演技が身に沁みます。「私死ぬのよ」なんて露骨な演技ではなく、明るい演技でも、身体全体に悲壮感が感じられて。

一方、ここは少年映画サイトですので、少年俳優についても。田中祥平君を期待していたのですが、残念ながら、ほとんど印象に残りませんでした。彼の演技力等の問題ではなく、演出の問題です。ただでさえ短い幼少期を、年齢順に3人の少年が演じていますので、どうしても1人あたりの印象は薄くなります。

3歳のボクとオカン。
(オカン役の内田也哉子さんは樹木希林さんの実娘)
中学生になったボクとオカン。
(冨浦智嗣君の声は、年齢がいっても高いのが特徴でした)

■日本アカデミー賞

これは余談ですが、本作品は2008年の日本アカデミー賞で、最優秀作品賞はじめ主要な部門を独占。スポンサーに日本テレビが入っているため、これは、日本テレビアカデミー賞だと揶揄されたそうです。なにせ最優秀主演女優賞の樹木希林さんでさえ、これはおかしい、と言ったとか。

しょせん、日本アカデミー賞なんてそんなもの。それよりも「キネマ旬報ベストテン」に輝く方が価値があると思っていたのですが、最近は、キネマ旬報の審査員もアテになりません。そんなの気にせず(でも気になるのが人情ですけれど)、いい映画を作って下さい。







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