ひかりのたび (2017年)

作品総合評価 6点
少年の出番 8%(ヒロインの同級生役)
寸評 地上げする不動産屋とその娘の葛藤
【少年映画でない理由】年齢オーバー&出番少
映画情報など 2017年製作。メディア未発売。
(写真は、萩原利久君)


東京で時間が空いたので新宿K’sシネマへ行って鑑賞。少年映画とは全く思ってなかったのですが、成長した萩原利久君が出演しており、雰囲気はいい映画でした。今時めずらしいモノクロ作品ですがこれが意外に新鮮。カラーだったら空虚な内容も、モノクロだと七難隠せてしまうような気がします。

本作品についてネットや媒体の宣伝はヒロインの志田彩良さん一色。ネクストブレイク間違いなしの逸材との事。たまには少女映画もいいかなと思って見たのですが、主役というにはあっさりしすぎ。実質の主役はヒロインの父親でした。

萩原利久君と志田彩良さん。二人の話が中心だったら・・
■ストーリー

ある地方の町。不動産会社支店に赴任した植田(高川裕也)は、閉鎖的な土地での営業に苦労するが、前町長に取り入るなど次第に実績を上げる。植田の仕事は土地を買収して外国人に販売すること(売国奴?)。当然、地元の人間からは嫌われているが、過疎と高齢化に悩む住民の中には植田に土地を売って都会へ出る者も多かった。

植田は離婚したが、高校生の娘、奈々(志田彩良)は母ではなく植田と一緒にこの町で暮している。高校では表立っては何もないが、友人はおらず、何度も自転車を壊されるなど陰湿なイジメはあった。同級生の公介(萩原利久)だけは奈々の事を気にかけてくれ、一緒に歩いたりもしている。

大きなプロジェクトが無事終り、植田は4年間のこの町での業務を終えて転勤する事になった。しかし奈々は父への反発からか、この町に残って就職するという。もちろん植田は反対するが、そんな時、植田が買収した家に住んでいた女性が町にやってきた。この女性にはある事件があり、その秘密を奈々に話すのだが・・

■バブル期の地上げ屋とどう違うのか・・

主人公は不動産屋。過疎に悩む地方の土地を買い叩いて外国人に売る。とんでもない悪人(悪徳企業)なんですが、映画を見ていると悪人には見えて来ないのです。それは演じた高川裕也さんの演技力。地元民の憎しみを感じながらもビジネスとして誠実に進める。ブレない信念がヒシヒシと感じられるのです。

しかし今や過疎の町の土地なんて資産価値下落で商売になるのでしょうか。バブル期は企業も個人も我も我もと買い漁る。土地さえあれば何倍にもなって売れる。そんな土地神話は崩壊。外国人に売るなんて、一部地域を除けばあまり現実的ではないように思うのですが。

それはいいとして、本作品はやはり不動産屋を演じた高川裕也さんの熱演に尽きます。娘役の志田彩良さんも存在感は十分ですが、本作品では主体的な存在ではなく、流されていく女子高生にすぎません。

自転車を壊され、とぼとぼ歩いて帰る奈々
公介が自転車で追いかけてきた。(通学路は長い)
乗れよ。奈々は心なしか嬉しそうな顔
(いい雰囲気です。でも結局このシーンだけ)

■もう少し活躍して欲しかった萩原利久君

童顔だった萩原利久君。映画「INOCENT15」ではびっくりするほど大人の顔になってしまい、もう少年役は無理と思っていました。本作品では高校生ですが、本当に穏やかな演技なので、まだまだ少年っぽさは維持しています。

ヒロインの志田彩良さんを自転車の後ろに乗せて走ったり、なかなかいい雰囲気のシーンはあるのですが、それきり全く発展しません。映画「君の名は。」みたいな展開は全くなく、これは本当にもったいない。もうちょっと萩原利久君という素材を活用して欲しかった。

ヒロイン志田彩良さん自体あまり活躍する作品でありませんので、その友人役を活躍させる訳にはいかないのでしょう。本当の少年俳優もほんの一瞬だけ登場します。

家を売って都会に引っ越した女性。女性には幼い息子がおり、些細な事で叱って家から追い出したところ、少年は交通事故で死亡。その罪悪感からこの家に住めなくなった。実はこの少年の死と不動産屋につながりがあるのです(詳細はヒミツ)。一瞬ですがこの少年俳優の顔が印象に残ります。

萩原利久君。すっかり成長しました。
(参考)小6の頃の萩原利久君。
(週刊こどもニュースより。体操服が幼い)







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