こどもつかい (2017年)

作品総合評価 4点
少年の出番 20%(虐待を受ける子供役でキーマンのはず..)
寸評 Jホラー巨匠 清水崇監督ですが、今ひとつ
【少年映画でない理由】出番少&年齢不足
映画情報など 2017年製作。BD/DVD発売中。
(写真は中野遥斗君)


邦画少年映画が全くの不作だった2017年、Jホラー巨匠・清水崇監督の新作については早くから情報があり、呪怨の俊雄少年のような子役も出演するとの事で期待をしていました。劇場公開時には行けませんでしたが、小説(映画を基にしたノベライズ版)を買って読んではいました。

レンタルが始まるとすぐに借りて鑑賞したのですが...映画館で見なくても良かったかなと。小説を読んでいたから判るのですが、映画だけ見た人は理解しにくい内容だと思います。それにしても滝沢秀明さんのジョニー・デップ気取りには参りました。日本映画に不足しているのは男女とも実力派俳優かなあ。

こども使い(滝沢秀明)の世界へ行くことになった蓮(中野遥斗)
(このシーンは映画では全体的にピンクがかっていますが、色処理しています)
■ストーリー

若い新聞記者の江崎(有岡大貴)は頻発する子供の行方不明事件を取材するうちに「虐待された子供は行方不明になるが戻ってくる。その3日後、虐待した大人が変死する」という噂を聞いた。子供はみな一様に不思議な歌を口ずさむ。トミーの呪いという都市伝説らしい。

江崎の愛人の尚美(門脇麦)は保育士をしているが、蓮(中野遥斗)という男の子の身体に虐待の痕を見つけた。その日、蓮の母親が現れないので、尚美は蓮を自宅に連れて帰った。江崎もいて3人で川の字になって寝て擬似家族のように。しかし翌朝、蓮の母親は変死して見つかった。蓮もあの不思議な歌を口ずさんでいる。

蓮は保護処遇をめぐり裏切られたと思い、尚美にトミーの呪いをかける。このままでは3日後に尚美は死ぬ。江崎は50年前の新聞記事で、サーカス小屋の火災で7人の子供と人形使いの外国人が死んだ事件を発見。これが呪いの大元だと思い三重県の現地に向かった。さて江崎と尚美は事件の謎を知り、呪いを解く事はできるのでしょうか...

■ストーリーには書き切れませんが...(ネタバレ注意)

上記のストーリーでは本作主役の滝沢秀明は出てきません。サーカス小屋事件で死んだ外国人が持っていた生き人形に魂が宿ってゴースト化したのが、滝沢さん演じるこどもつかい。そして一緒に焼け死んだ7人の子供の霊を眷属のように使って、子供を虐待する大人たちを惨殺していく訳です。

サーカス小屋には8人目の子供がいたのですが、火災から救出されます。その子供が50年経っても生きていて、江崎と尚美にとって重要な役目を果たしてくれます。(もうこれ以上は書けません。DVDを見て下さい。いやDVDよりも小説の方がいいでしょう。)

いつまでたっても母のお迎えが来ない蓮
仕方なく尚美の家へ連れて帰った。そこには
恋人の江崎(左)もいて3人でまるで親子のように

■蓮を演じた中野遥斗君

少年俳優というには幼すぎるのですが、凛々しい目が印象に残りました。きっといい少年俳優になるのではと思います。でも本作では出番は多くはありません。どちらかというと尚美の子供時代の女の子とか、女の子の方が出番が多いくらいでした。

母親による幼女への暴力。変態男による幼女へのイタズラなど、少し目を覆いたくなるシーンもあり、映画の後味は決してよくありません。その中で最後、蓮も尚美も江崎も助かる(あっ言っちゃった)のですが、そう簡単にHappy endにしてくれません。エンドロール最後に蓮が何かします。呪怨のように、トミーの呪いが続いていく事を示唆しています。(滝沢さんの持ち役としてシリーズ化するのかも)

尚美から貰ったお守りを蓮は返す。
(尚美に裏切られたと思ったのだ)
外国人が作ったトミーの人形。
この人形に邪悪な魂が宿って...

■主人公2人の男女、私にはどうしても無理でした

主人公2人の男女にどうしても感情移入出来ません。特に尚美。演じた門脇麦さんには申し訳ありませんがイライラさせられ通し。尚美自身が子供の頃に母親から虐待を受けていたという事で、メンタルに問題がある女性のようです。ホラーよりも、情緒不安定なこの女性の方が生理的に怖かったりして。

新聞記者の江崎も優柔不断なキャラクターで、こちらもイラっときます。演じたのはJ事務所の有岡大貴さんで、肩肘張らない演技は好感が持てるのですが。やはり清水監督の演出の問題でしょう。映画を見ている観客に、そう簡単に感情移入できるキャラクターを与えない主義なのかもしれません。

思えば、Jホラー最初の映画「リング」(1998年)では、松嶋菜々子、真田広之、竹内結子など、演技の出来る俳優さんをうまく使っていたものだと思います。

50年前の三重県のある町。サーカス小屋で火事が..
7人の子供が死んだが、1人は生き残った
こども使い(中央)に操られるこども達の霊


(おまけ)滝沢秀明さんの少年時代

今回はジョニー・デップの物真似のような役ですが、ホラーといえばジュニア時代の怪談トリオ。これは一世を風靡したのではと思います。ですので当時の写真を少々。

ドラマ「怪奇倶楽部」(1995年フジテレビ)
まだあどけない美少年だった滝沢秀明君
怪談トリオの3人。滝沢秀明、川野直輝、今井翼
(短パン体操服が本当にいいですなあ..)
(右端は「気分はワイルド」に出ていた青塚光平君)







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