神さまの轍 Checkpoint of the life (2018年)

作品総合評価 6点
少年の出番 20%(主人公の中学生時代)
寸評 典型的な町おこし映画ですが、爽やかです
【少年映画でない理由】年齢オーバー
映画情報など 2018年製作。BD/DVD等未発売
(写真は望月歩さんと吉沢太陽さん)


あまり話題にも登らない作品ですが「ソロモンの偽証」の望月歩君、「海よりもまだ深く」の吉沢太陽君、という気になる少年俳優が出演との事で期待していました。二人とももう高校生ですので少年俳優のカテゴリーではありませんけれど。

京都府の南部、奈良県との間にある閑静な井手町が舞台。ロードバイク(自転車)を町おこしの手段の一つとして本作が作られたようです。全国に先駆けて18.2.24より京都府の2館で先行上映。残念ながら井手町には映画館が無いようですけれど。私はイオンシネマ久御山での初回を鑑賞。2回目は舞台挨拶があるのですが、今回はパス。(望月君や吉沢君も来ないようですし)

さて京都府といっても久御山町も陸の孤島。バスは本数もありますが、今回は(あのキタサンブラックが活躍した)京都競馬場のある淀駅から45分かけて歩きました。まあいい運動に。そしてイオンシネマは55歳以上はいつでも1100円。なんと知りませんでした。私はまだ50代ですが対象者(年齢告白!)

※雑談です。55歳以上のチケットの場合「年齢を証明する物を求める場合があります」との事で、先に免許証を提示したのですが、お姉さんは薄ら笑いを浮かべながら「はい結構です」。イジけた私は「あなたは鏡を持ってるの?55歳以下に見えるとでも思ってるの?」と思われたのかと、大変傷つきました。次回から求められるまで無視しよう。

のどかな京都府井手町に住む二人の中学生、勇利(望月歩)と洋介(吉沢太陽)
(このカットは、二人とも中学3年生に見えます)
■ストーリー

2010年。京都府井手町に住む中3の洋介(吉沢太陽)と勇利(望月歩)は進路に悩んでいた。二人ともこれといった夢やなりたい職業もない。ある日、クラスの悪ガキが近所の自閉症のオッサンの自転車を盗み、二人が取り戻してあげた。オッサンの老母(自転車屋を営む)は二人に中古のロードバイクをプレゼントしてくれた。これが二人、特に勇利の人生のターニングポイントとなった。

2016年。ただ流されるままに高校、大学と進学した洋介(岡山天音)は就活に取り組むがうまく行かない。そんな時、久し振りに勇利(荒井敦史)と会った。勇利は学校には行かなかったようだが、ロードバイクの若手有望選手としてプロチームと契約するという。

2019年。洋介は結局就活に失敗、学生時代からアルバイトしていた学習塾で働いている。一方、勇利は2020年東京オリンピックの星として活躍していたが、急に情熱を無くして故郷の井手町に戻ってきた。井手町で自転車のロードレースが開催される事になり、洋介は中学生の時にもらった自転車に再度乗り始める。しかし勇利は冷めたまま。

そんな時、老母が亡くなり一人になった自閉症のオッサンの姿をみて、勇利の心に再び火が着いた..

■判りやすい町おこし映画

井手町は「自転車で走り易い道やコースがありますよ」との事でロードレーサーやサイクリストが訪れる町になっています。それをさらにPRする映画であることは間違いありません。地方振興映画の中には、映画のストーリーと全く関係なく地元の名所や名物が出てくるものですが、ちょっと嫌味を感じます。

それに比べると本作はストーリー自体が町おこしですので、ここまで開き直られると爽やかなもの。またストーリーも本当に静かなもの。二人の少年が青年になり、自分の求める夢とか人生を見つめ直す。日常の仕事や人間関係に流されて、また流されて行きていく人が大半ですが、本作はちょっと考えさせられる部分もあります。

また女性俳優の登場は最小限ですので非常に地味。愛や恋物語の要素は殆どありませんので、若者には受けないだろうと思います。それでもたまにはこんな映画もいいのではないでしょうか。

映画ポスターのイラスト。これいいですなあ..
(実際には斜めになってますが、角度を補正)
町の自転車屋さんに中古のロードバイクを貰った
(中央は六角精児さん。ある意味いい役でした。)

■望月歩君と吉沢太陽君

中学生時代のシーンは思ったよりは長く、二人の少年俳優の演技もしっかり見る事が出来ました。驚いたのが吉沢太陽君。すごくイケメンになっています。さすがスターダスト。演技も地に足がついていて、これから期待の俳優になれそうです。もう一度くらい是枝作品に出て欲しいものです。

一方、望月歩君ですが、さすがに中学生役を演じるのは年齢的に難しい感じがしました(実年齢では吉沢君よりも2歳上)。ただちょっと舌足らずなセリフ回し、エキセントリックな感じの演技力は、ソロモンの偽証の時のまま。オーソドックスな役よりも、ちょっとクセのある青年役が本当に似合います。

本作で印象に残るセリフ。僕はずっと待っているんだ。何かやりたい事や夢が向こうからやって来て、風のように去っていく。その瞬間をつかんで飛び乗って行こうと思ってるんだ。(こんな感じのセリフだったと思います)。いやなかなか変わった子。でも勇利は本当に風に乗るように夢をつかんで行ってしまった。

望月歩君。彼は写真映りが上手。
(年齢以上に若く見せてくれます)
吉沢太陽君。彼は写真映りが下手。
(実際の映画ではもっとイケメンなのに..)

■大人の俳優さんについて

大人の洋介を演じた岡山天音さん。怒った顔が想像できないような穏やかな青年で、見ていて爽やかでした。ただ中学生時代を演じた吉沢太陽君とはあまり似ていないのが少し残念。大人の勇利を演じた荒井敦史さん。本当に正統派のイケメン。特筆すべきはその肉体のすごさ。

胸板が厚く、脚も太くて筋肉モリモリ。映画に備えてボディビルで鍛えたのでしょうか。でも自転車競技でも短距離の競輪選手のような体つきで、長距離を走るロードレーサーの筋肉とはちょっと違うかも。(この辺りの専門的な事は判りませんので、トンチンカンな事を書いていたらすみません)

最後に自閉症のオッサンを演じた六角精児さん。TVでは呑みテツと称して鉄道に乗って飲み歩く役が板についていますが、今回は可哀想な役。傷のついたレコードのように訳の判らない独り言を繰り返すだけのオッサン。これがですね、ウチの近所にいるオッサンと全く同じなんですよ。もうリアル、リアル。でも六角精児さん、実はこの映画で一番おいしい所を全部持って行ったかもしれません。

脚注。傷のついたレコードって言っても知らない世代が大半。レコードの溝に傷があると、それをなぞる針が飛んて、また同じ所に戻ってくる現象です。私もそれほど知りませんけれど。

吉沢君と望月君。身長差が(年齢も望月君が2歳上)
(吉沢君は茶髪ではありません。陽が当たってるだけ)
勇利役を演じた望月君と荒井敦史さん。
(望月君はちょっとぶりっ子...まあいいですけれど)







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