ユメ十夜 (2006年)

作品総合評価 5点
少年の出番 10%(全10夜のうち4,8,9夜に少し登場)
寸評 10本の和風ファンタジーが楽しめます
【少年映画でない理由】出番過少
映画情報など 2006年製作。DVD発売中
(写真は4夜の小関裕太君)


夏目漱石の「夢十夜」をモチーフにした10本のオムニバス映画。恥ずかしながら原作は読んでおりませんので、これを機に無料の青空文庫をダウンロードしました。でもまだ読めず(いつでも読めると思うと読まないのが人間の弱いところですなあ...)

同じ雰囲気の映画に黒澤明監督の「夢」があります(幼い頃の伊崎充則君が出演していますので、そのうちレビューします)。こちらは黒澤監督のオリジナル脚本との事。なんといったって夢なので、ストーリーが支離滅裂でも文句を言われないのが、製作側も気楽でいいのでしょう。

作る方も気楽なら、オムニバスは見る方も気楽。退屈でも寝てしまいそうになる前に話が終わりますので。しかし本作のように10人の監督の競作となれば、作る方は比較されてしまいますので、気楽とはいかず、プレッシャーがかかるかも。少年俳優が登場するのは4夜、8夜、9夜。この3本だけレビューします。

第4夜。少年時代の漱石と初恋の女の子。線路の上で。絵になりますなあ...
■ストーリー

第4夜
ある村に講師として招かれた夏目漱石(山本耕史)。田舎のバスで降ろされたのは面影橋という見知らぬバス停。そこへ変な老人が現れて、その後を村の子供たちがついていく。ここで漱石は少年時代(小関裕太)の記憶が蘇った。ここは漱石が療養していた村。そこで子供の集団神隠しが発生。その中には漱石の初恋の女の子もいた...

第8夜
4人の子供たちが田んぼの中でザリガニなどを探している。1人の少年がとぐろを巻いた10mもある巨大ミミズ(のような生物)を捕まえた。少年は家に持って帰り「飼いたい」というが母親が許さない。そこへ祖父の漱石(藤岡弘)が帰宅。ミミズを見ながら原稿を書こうとするが...

第9夜
太平洋戦争末期。ある男(ピエール瀧)に赤紙(召集令状)が届いて戦地へ出征していった。男の妻(緒川たまき)は幼い息子(渡邉奏人)を連れて神社にお百度参り。母が祈っている間、本殿に紐でくくられた息子。その時、本殿の扉が開き、闇の中で父の姿を見てしまった息子は父が既に死んでいると悟ってしまった...

■第4夜

漱石先生の頃にもうあんなバスがあったのでしょうか。それはさておき、とにかく小関裕太君。天てれで活躍していた頃にこんな作品に出ていたのですね。半ズボンのお坊っちゃまスタイルが似合っていて、彼を主役にして長編映画を撮って欲しかった。小関君はイケメン若手俳優として今また注目されています。

講演にやってきた漱石先生。少年時代がflashback!
(ここは昔、僕が療養に来ていた村だ...)
面影橋という場所で見かけた子供たち...
(早稲田の次の駅ではありませんよ。by路面電車オタク)

あの赤いワンピースの少女は初恋の...
(そしてみんな神隠しにあって行方不明になったんだ)
セピア色の写真。漱石少年が転校してきた時。
(小関裕太君のスタイルがいいなあ...)

■第8夜

この作品は本当に夢オチ。前半の田んぼの中の子供たちのエピソードと、後半の漱石先生の話につながりが全く見えず。まあ夢なんてこんなものでしょうけれど。子供たちの服装が昭和末期か平成初期のスタイルなのが唯一の見どころ。子役さんの氏名も特定できずすみません。

少年たちが田んぼで遊んでいると
(夏目漱石先生の時代の服装ではありませんねえ)
一人の少年が巨大な生物を見つけた
(腰になぜか竹輪を付けているのですが...)

家に持って帰った。飼いたいんだ...
母ちゃん定番のセリフ。ダメすぐに捨ててきて!
うわあっ...不気味な生物!
(こんなもの子供1人で持って帰れたのかなあ)

■第9夜

この作品が意外にまとも。召集された中年男の妻は「行かないで。お国なんかどうでもいい」なんて当時なら非国民の言動。息子役の渡邉奏人君。本当に幼児なので演技なんてしないのかと思ったら、結構達者な演技なのでびっくり。ただ話のオチは少し判りにくいのが難点です。

母がお百度参り中。幼い息子は...
戦地にいるはずの父親が本殿の中に...
やがて朝になった。息子はつながれたまま
(ネタバレ。戦地にいるはずの父を殺したのは母)

■さいごに(どうでもいいこと...)

「夢をみた」で始まる漱石の小説。私も年齢のせいで深い眠り(ノンレム睡眠)が取れず夢をよく見ます。一晩中夢ばっかり見ていた気がするのに、朝覚えているのは直近の夢だけ。これも年かなあ...





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