悪と仮面のルール (2017年)

作品総合評価 5点
少年の出番 8%(主役の少年時代。本当に定番ですなあ...)
寸評 悪人になりきれない悪人?
【少年映画でない理由】出番過少
映画情報など 2017年製作。BD/DVD発売中
(写真は板垣李光人君。)


公開されていた時は全く興味も湧もわかず。WOWOWにチャンネルを変えた時たまたま本作品が始まり、冒頭に続くシーンで少年役の子が気になって全部鑑賞。原作は中村文則氏のミステリー小説。

主役は玉木宏さん。女優さんも出演しますが、最近の日本映画には珍しい、男ばかりのハードボイルド風のミステリー。ただ原作を読んでませんので、脚本的には疑問を感じる場面も多々。まあそんなの気にせず気楽に見たらいいとは思います。

主役の少年時代を演じた板垣李光人(りひと)君。年齢は14歳くらいでしょうか。年齢の割には声が高くて、ちょっと魅力のある少年俳優。でも映画公式サイトに名前すらないのが残念です。

少年は少女を愛していた。その少女をなんと父親が陵辱しようとしていた
(画面が暗いのですが、喉から首の線が少年らしくて...)
■ストーリー

財閥である久喜家は代々、の心を持つ真の悪人が継いできた。当主の捷三も悪人を育てるため(妾を作り)何人もの子を生ませた。文宏(板垣李光人)もその1人。香織という美少女を養女にし、文宏と一緒に育てた。文宏は香織を愛するようになる。これは作戦だった。

文宏が14歳になる頃。捷三はなんと養女の香織を陵辱する。それも文宏の目の前で。文宏は怒りで捷三を秘密の地下室に閉じ込めて殺害してしまった。親をも殺す悪人にさせる。それが捷三の狙いだったのだ。しかしこの狙いは失敗だった。悪人になりきれない文宏は悩み続ける。

やがて顔を整形して新谷弘一という別人になる。映画はここからスタート。久喜家の財の一部を継いだ潤沢な資金を片手に、久喜家をよく知る探偵を雇い、今はホステス嬢となった香織を護る。そこへ同じ久喜家の隠し子だった若い男や、久喜家を継いだ次男からの接触。また自分がなり変わった新谷の過去を追う刑事まで現れて...

■邪とか悪が何を意味するのか...

最初はオカルト系の映画かと思っていました。悪の大王?とか邪神に取り憑かれた一族なのかと。原作の中村文則氏の本を1冊でも読んでいれば作風が判ったのかもしれません。しかし徹底的に悪い奴を後継ぎにするとは、そのために自分の命が亡くなっても構わない。その感覚が判りません。

戦国時代の武将、武田信玄とか織田信長は相当なワルだったというのは読んだ事があります。それとも何か違うような。

あと本作の時系列も腑に落ちません。主人公の文宏は14歳で父を殺してから何をしていたのか。いつどうやって別人になりすまそうとしたのか。なりすました別人の事は何も調査しなかったの?刑事に追われてるとか。あまりにも杜撰(中古スマホや携帯を買ったら、前所有者の負債が残っていたようなもの)

そして文宏はなぜ香織や久喜家の現状を何も知らないのか(どっか外国でもいたのか)。一番がっかりしたのは、文宏はスーパーマンとはいかずとも肉体的にも強靭なタフガイと思っていたら、長髪メガネデブのオタクにすら殺られそうになるヘナチョコだったこと。

久喜家を継いだ次男も相当なワルでヤリ手。文宏の秘密のマンションも簡単に見つけてしまう。気に入らない人間は殺す。その気になれば香織なんかすぐに拉致できるはずなのに、何を勿体ぶっているのやら...

まあまあ粗を探せばキリがありません。少年時代役を演じた板垣李光人君がちょくちょく回想シーンで出てくるだけで満足しておきます。

冒頭シーン。歩いていく少年の足。
(足だけで少年性を感じてしまう...)
財閥当主である父親が少年に宣告した。
お前は、邪の心を持つ悪人になるのだ...


養女の香織と文宏。2人は一緒に育った
(血縁はなくても2人は兄妹なんですけれどね...)
人生で1番楽しかった時期だった
(それは僅か1、2年のことに過ぎない)


香織を陵辱しようとする父に対して...
殺意が芽生えた(それは父の戦略でもあった)
父を地下室に閉じ込めた。父はそのまま死んだ。
少年はその事実に潰され...壊れていった...


少年のこの屈託のない笑顔。もう二度と見せることは無くなった...

補足:各種映画サイトでは2018年製作となっていますが、エンドロールにCopy Rights2017の表記があり、ここでは2017年製作としました。また本作品出演の俳優さんが逮捕される事件があり、公開が遅れたとの記事もありました。





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