転校生 (1982年)

作品総合評価 6点
少年の出番 90%(設定では15歳ですが...)
寸評 大林監督と尾道の町がブレイク!
【少年映画でない理由】年齢オーバー
映画情報など 1982年製作。DVD発売中。
(写真は主役の1人 尾美としのりさん。)


言わずもがなの大林宣彦監督の出世作。また本作を皮切りに尾道が映画の町に。尾道三部作、尾道新三部作など。もっともそれ以前から尾道は小津安二郎監督作品もあり、また多くの文人が好んだ町です。

本作品はずっと以前にTVで鑑賞。少年映画とは思っていませんでした。設定では中学生ですが、尾美としのり君17歳、小林聡美さん16歳。れっきとした青春映画。それでも大林監督の代表作ですので取り上げる事にしました。(邦画少年映画のネタがない事もあり)

原作は山中恒氏の「おれがあいつであいつがおれで」。主人公は小学生。大林監督が2回映画化、TVドラマも何回か。小学生でドラマ化したのはNHKだけ。渋谷謙人君が熱演していたのを思い出します。

臨海学校にやって来た2人。転校生を代表するシーンの一つ
(2人とも本当の中学生の時に撮って欲しかった..)
■ストーリー

一夫(尾美としのり)は尾道で暮す中学生。そこへ一美(小林聡美)が転校してきた。実は一夫と一美は幼馴染。一美は関東に引越してまた戻ってきたのだ。一美は懐かしがるが一夫は迷惑。そんな二人がふとした弾みで神社の石段を転げ落ちた。その時二人の身体が入替ってしまった。

戸惑いながらも二人は異性として振る舞うがトラブルも起こす。一美には関東からボーイフレンドがやってくるし、一夫は父の仕事で横浜に引っ越すことになった。そんな現状に耐えられず二人はプチ家出。しかし翌日には戻ってきた。もうあきらめて二人とも異性として人生を歩もうかと..

何気なくまたあの神社にやって来た。また二人は石段を転げ落ちた。そして二人の身体は元に戻った。めでたし、メデタシ。(最初と最後はモノクロ上映。二人が入替ってる間はカラー上映)

■少年目線の原作。必然的に少女俳優が主役。

「俺があいつであいつが俺で」ですから俺が中心。このままなら尾美君が主役。でも入れ替わって身体は女の子。尾美君がそのまま演じれませんので、当然主役は小林さんに。うら若き乙女の小林さんが男になってパンティーや胸を丸出しにしてくれる...観客も喜びます。

実際に本作は小林聡美さんの熱演が全て。少女役の小林さん、少年役の小林さん。顔つきが全く違いました。少年役の方が生き生きとしてチャーミング。尾美君も頑張りましたけれど残念ながら印象に残らず。

それでも大林監督の配慮でしょうか、キャストロールのトップは尾美君。2番目が小林さん。しかしこれ以降、本原作のドラマ化では女性俳優がトップ。大林監督のリメイク版も。仕方ありませんね。

肝心の映画の内容ですが、皆様よくご存知の有名作品なのでコメントを控えます。印象に残ったのは尾道の町なみ。私も数回旅行しましたが町を歩くのは観光客ばかり。本作品は観光地化される前。歩いている人は地元の方。人口も多かったのですね..

転校生の女の子は幼馴染だった。
(最初と最後はモノクロです)
神社の階段から転げ落ちた2人。
(撮影で怪我しなかったのだろうか..)


男になった一美。戸惑うことばかり
(悪ガキにパンツ脱がされたり..尾美君も大熱演)
女になった一夫。こっちは結構楽しんでたりして..
(小林さん恥しかったでしょう。観客は嬉しい..)


これからどうしよう。悩む2人。
(ここは尾道の観光スポット。尾美君の座り方..)
もう男として生きる。私だった身体に最後のお別れ
(左の小林さんの顔は凛々しくてチャーミング)


また神社の階段から転げ落ちて..元に戻った!
(一夫が最初にしたのは立ちション。神社ではご法度!)
女の子に戻った一美。またモノクロ
(現在の小林聡美さんそのままですなあ..)


(おまけ)観光地でない尾道の町1
メインの商店街。歩くのは地元の方ばかり。
(おまけ)観光地でない尾道の町2
塀の続く海岸。釣り少年が絵になります。



※後記
「おれがあいつであいつがおれで」原作の映画・ドラマ一覧をWikipediaで調べました。本当に何回もドラマ化されています。男性俳優がトップに来るのは尾美君だけ。小学生が演じたのは1回だけ。だんだんと年齢が高くなってきて原作から離れるばかり...

・1982年、映画「転校生」 尾美としのり、小林聡美
・1985年、TVドラマ「転校生おれがあいつであいつがおれで」 石野陽子、松野達也
・1986年、TVドラマ「転校生おれがあいつであいつがおれで2」 石野陽子、松野達也
・1992年、TVドラマ「放課後」 観月ありさ、いしだ壱成
・2002年、TVドラマ「どっちがどっち!」飯田美心、渋谷謙人
・2002年、TVドラマ「おれがあいつであいつがおれで」 吉澤ひとみ、勝地涼
・2007年、映画「転校生 さよなら あなた」 蓮佛美沙子、森田直幸





▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼第5部トップへ戻る