きいろいゾウ (2012年)

作品総合評価 3点
少年の出番 8%(キャストロールでは3番目)
寸評 精神を病んだ人たちのファンタジー
【少年映画でない理由】出番過少。
映画情報など 2012年製作。BD/DVD発売中。
写真は濱田龍臣君。


タイトルだけを見ると童話のようなファンタジー。声変り前の少年真っ盛りだった濱田龍臣君が出演しているのは知っていましたが、なかなか見る気が起きませんでした。最近になってレンタルDVDで鑑賞。

2時間10分の長尺。正直言って最後まで見るのは我慢が必要でした(早送りせず全部みましたけれど)。宮崎あおいさんが好きな人はツボにはまるでしょうし、苦手な方は30分持たずに断念するかもしれません。濱田君がいなければ私も後者でした。

ツマ(宮崎あおい)の家に上がり込んだダイチ(濱田龍臣)。
ツマは少年といるとリラックス。少年は若い女性にほのかな恋心。
■ストーリー

三重県の田舎町で暮すムコ(向井理)とツマ(宮崎あおい)。ここはムコの実家。小説を書きながら介護施設でアルバイト。ツマは不思議な女性。庭のソテツの木と話が出来たり。しかしどこか病んでいる。近所に東京で不登校になった小学生のダイチ(濱田龍臣)がいた。ツマとダイチは不思議に気が合ってよく話をしている。

ムコにも心の傷があった。姉が自殺。姉によく似た女性画家との不倫と破局。背中には刺青。そんな時、画家の夫から手紙が来た。ツマは嫉妬する。一方ダイチは心が晴れたのか東京へ帰る事になった。残されたツマは夢の中で黄色いゾウにお願いする。ムコを返して下さい...

■どんな人間だって心に傷や闇を持っている。

本作品の登場人物は病んだ人ばかり。主役のムコとツマ。小学生のダイチはちょっとした事から不登校。それは国語の朗読で「姉さん」を「あねさん」と呼んでしまい、それ以降のあだ名はアネサン。そんなふうに注目される状況に耐えられなくなってしまった。

休養するためにやってきた(親戚か何かの)田舎町。ここにはダイチにつきまとう同学年の少女ヨウコ(浅見姫香)がいた。自分の事をジェニーと言って言動が少しおかしい。彼女もまた病んでいるのでしょう。

本作品はどうも「病んでいる部分」を増幅して描いています。見ていて気分のいいものではありません。どんな人間だって抱えている闇や負の部分。それを隠して頑張って生きているのです。隠すのは恥ずかしいだけでなく、他人に不快感(負のエネルギー)を与えないための生き方です。

大変失礼な書き方ですが、宮崎あおいさん自体に負のエネルギーを感じるのです。もちろんこれも演技力の賜物でしょう。ところが少年である濱田龍臣君と一緒にいる時だけはそれがないのです。逆に正のエネルギーを感じるのです。マイナスを浄化してプラスに変える。恐るべし少年パワー。

ツマとムコの畑で穫れたトマトを貰ったダイチ。
(濱田君は明るすぎて病んでいるようには見えない)
ダイチにつきまとう少女ヨウコ(中央)
(ダイチの困ったような顔が可愛い)


集会所で演芸大会。ムコの歌が下手過ぎて..
(体育座り。脚はヨウコと同じようにキレイ...)
東京へ戻ることになったダイチ。
ムコとツマの家に来て御礼と挨拶。


トラックの窓から手をふるダイチ。
この別れにショックを受けたのはツマだった...
東京に来たムコと喫茶店で会った。
(コーヒーは大人の味。いいですなあ...少年は)



※後記
ダイチにつきまとう鬱陶しい少女ジェニー(ヨウコ)。演じているのは浅見姫香さん。TV番組「We Can☆47」に出演していた彼女は本当に控えめで大人しい子。なので本作の役には違和感。でも脚がすらっと長くてショートパンツがセクシー。そればかり目がいきました。30年くらい前なら濱田龍臣君も同じ衣装だったのに。見たかったなあ...





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