タンポポ (1985年)

作品総合評価 6点
少年の出番 10%未満
寸評 ラーメンブームを先取りするコメディ。
【少年映画でない理由】出番過少
映画情報など 1985年公開。BD/DVD発売中.
写真は池内万平君(監督夫妻の次男)。


伊丹十三監督のメジャー2作目。激戦区が林立するラーメンブームはいつ頃から始まったのでしょうか。本作の1985年頃はそれ程でもなかった気がします。伊丹監督はトレンドを先取りする感覚が優れていたと思います。出番は僅かですが、伊丹十三・宮本信子夫妻の実の息子さんがいい味を出していました。

非常階段からレストランの厨房に忍び込む乞食(左)と少年。絶品のオムライスを作ってやるからな!
■ストーリー

トラック野郎のゴロー(山崎勉)がたまたま1軒のラーメン屋に入った。未亡人のタンポポ(宮本信子)がやっているが、素人丸出しで不味い。ゴローは店で騒ぐヤクザまがいの連中と喧嘩してのされてしまった。タンポポに介抱されたゴロー。もっと旨いラーメンを作れるよう手伝うことになった。

有名な中華料理屋を偵察。公園に住みつく乞食グループにも料理の名人がいた。一方タンポポの息子(池内万平)はゴローに感化され、いつもイジメられていた連中と喧嘩。最後は彼らと友だちに。紆余曲折の末に新しい店をオープン。それを見てゴローは去っていった。

(役所広司演じる白スーツのヤクザの話が並行して進みますが、そちらは省略。)

■乞食たちがいい味を...

前作『お葬式』でもそうでしたが、伊丹監督は食や料理のシーンにこだわりがあるように思います。単なるラーメンがご馳走に思えてくるのが不思議(すみません、ラーメン好きの方には失礼な言い方でした)

でも私が一番食べたいと思ったのがオムライス。公園の乞食グループには元名コックも多数。何が食べたい? 少年はオムライス! よし任せとけ。2人はこっそり閉店後のレストランの厨房へ忍び込みます。警備員の目を盗んで手際よく作ったオムライス。シンプルだけど美味そうで(私の心は、まだまだお子様)

当時はまだホームレスという言葉がそれほど一般的ではなく、乞食とかルンペン(知ってます?)とか言われてました。本作品の乞食たちは皆明るいのです。いきなりミュージカル風の歌が始まったり。映画や舞台の『マイ・フェア・レディ』のパクリ(今の人は『マイ・フェア・レディ』なんか知らないでしょうけれど)

池内万平君。父が監督、母が主演女優という作品の中で臆する事なく堂々とした演技でした。ほんのチョイ役ですが、いじめっ子の中に大沢健君がいたのが印象に残りました。

雨の中でイジメを受ける少年。
おい何やってるんだ!ゴローに助けられた。
母と少年。店ではヤクザまがいの連中が...
(宮本信子さんと万平君。さすが母子、似ています)


乞食たちに料理の極意を教えて貰うタンポポたち。
(いきなりミュージカル。Wouldn't It Be Loverly?)
元コックの乞食に作って貰ったオムライス。
(シンプルだけれど美味そう。少年も大喜びで)


また3人組からイジメをうけるが...
(左は大沢健君。もう少しマシな役貰えないのかなぁ)
母の店がリニューアルオープンの日を迎えた。
おいっ。もう大丈夫だろ。ゴローは去っていった。



※後記
64歳でお亡くなりになられた伊丹十三監督。自殺との事ですが、真相は闇の中とも言われています。暴漢に襲われて頭に包帯をしたままインタビューに答えていた伊丹氏の様子をテレビでも見ました。どういう事情があったのか判りませんが、もう少し作品を見たかった。惜しい方を早くに失くしました。





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