ゴジラ対ヘドラ (1971年)

作品総合評価
少年の出番 80%(意外にも主役級)
寸評 公害や環境問題の脅威。頼みのツナはゴジラだけ?
【少年映画でない理由】少年というには年齢不足。
映画情報など 1971年、国内公開。BD/DVD発売中。
写真は川瀬裕之君。


今年(2021年)は本作制作からちょうど50年。結構ファンの人がいて、50周年記念イベントも種々開催されたそうです。4Kリマスター版で非常に鮮明になった映像が日本映画専門chで放送されました。一応録画はしたのですが、しょせん怪獣映画と思ってしばらく放置。

つい先日になって鑑賞。子供をターゲットとした怪獣映画には違いないのですが、意外に面白くみれました。当時の世相や若者の風俗、アニメを利用した映像なども新鮮でした。

海洋生物学者の息子ケン。幼いけれど聡明な少年だ。テレパシーでゴジラと通じ合えるらしい...

駿河湾に面した町に住むケン(川瀬裕之)は小学2年生。父は海洋生物学者。ある日、ヘドロで汚れた海でオタマジャクシのような奇妙な生物を発見した。父が海に潜って調査していると怪物が出現し、毒素を浴びた父は重症を負う。ヘドロから生まれた怪物は巨大化して船を襲い、上陸して町を襲い始めた。

怪物はヘドラと名付けられるが、手に負えない。そこへゴジラが現れてヘドラと対決。しかしなかなか勝負がつかない。ケンの父は負傷しながらも実験を繰り返し、電流を流して乾燥させる手法を発見。自衛隊は巨大な電極を製作し、ゴジラと協力してヘドラを乾燥消滅させる事に成功した。しかしヘドロの海にはまだ...


小さなオタマジャクシのような生物。少年が飼っていると、二匹が合体して一匹に。次々に合体して巨大化していく。これって生物学的には逆なような。一匹が二匹に分裂、どんどん分裂を繰り返して数が増えていく。ウィルスやガン細胞のにように。私はこちらの方が怖い気がします。

初代のゴジラを除き、日本の怪獣映画やヒーロー映画って結局は他力本願なのですね。正義の怪獣ゴジラやガメラ、あるいはウルトラマンが現れてプロレスもどきをやりながら、悪の怪獣をやっつけてくれる。自衛隊の戦車やジェット機は何の役にも立たずに吹き飛ばされるだけ。

私はそういうのって、子供の頃から今ひとつに思っていました。一人一人は弱くて小さな人間が、頭脳と知恵を出して怪獣や脅威を乗り越える、そんな話はないものか。いざとなったら水戸黄門の印籠、金さんの桜吹雪、吹いてくれる神風などの絶対権力にお縋りするのが日本人の伝統かもしれません。

いやいや話が脱線しました。ケンを演じた川瀬裕之君。セリフは上手いとは言えないのですが、いい顔をしているのです。可愛いとかの話ではなく、キリッとして崇高にさえ見えるのです。媚びたような笑顔は全くなし。黒澤映画『どですかでん』、日曜劇場『銀の海』、次作『ゴジラ対メガロ』にも出演。

このまま「永遠のケン少年」でいて欲しかったのですが、あるBDの特典映像に『あの日、僕が見上げたゴジラ』というのがあり、いい歳のオヤジになってしまった川瀬裕之さんを見て複雑な気持ちに...


ある日、漁師が奇妙な生物を持ってきた。
(中央が父。左は叔父。右は漁師。)
父が潜水調査に行ったきり帰って来ない。
海をみつめて心配する息子のケン


ヘドラの毒は硫酸ミスト。父は顔面を負傷。
父を見つめるケン。戻ってくれて良かった。
父はヘドラの弱点を探そうと実験を続ける。
(右は叔父役の柴俊夫さん。当時の芸名は柴本俊夫さん)


叔父とその恋人と一緒に富士山麓へ行く事に。
2人は公害反対音楽フェスを主催していた。
音楽フェス会場にヘドラがやってきた。
富士山麓でゴジラと最後の対決を...



※後記
また関係ありませんが、東宝のゴジラは東京のイメージ。野球で言えば巨人。それに対して大映のガメラは大阪、阪神のイメージでした。関西人の私は当然ガメラ派。何の根拠もありませんけれど。ついでに日活のガッパは中日? もっとマイナーな松竹のギララはどこでしょう。東映は思い出せず。ちなみに一番好きな特撮は大映の大魔神





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