家族の食卓 (2021年)

作品総合評価 C(すみません。世間ではA評価)
少年の出番 70%(ある意味主役なのですが)
寸評 3組の家族が崩壊。息子のせい? それとも...
【少年映画でない理由】母親の葛藤と狂気がテーマ
映画情報など 2021年、国内公開。BD/DVD発売中。
写真は柴崎楓雅君。


2021年コロナ禍の中で公開。かなり高評価の作品。内容的には仏映画の名作『大人は判ってくれない』を母親の立場で描いたものだと思っていました。しかしそこにあるのは母親が出す強烈なマイナス・エネルギー。なんで私ばっかり不幸なの...まるで貞子か伽耶子の呪いのように...

大阪のユウと母親。なけなしの貯金を盗まれてどん底。でもユウと母親の絆は深まった。
(3組の家族の中で、この母子が一番ふつうで人間らしい。大阪びいきもありますけど。)

3人の母親。共通点は石橋ユウという名を持つ息子がいることだった。

静岡のユウ(柴崎楓雅)の家は裕福な上流家庭。何の不自由もなく育っていると母親(尾野真千子)は思っていたが、ユウは二重人格。表は明るく優しい少年。裏は陰湿なイジメと暴力で人間をコントロールする。しかし被害者の少年たちがユウと家族を糾弾。父親は他人事。家庭はもろくも崩壊へ

神奈川のユウ(外川燎)の家は両親共働きの中流(の下)家庭。母親(菅野美穂)は仕事と家事の両立に苦しむ。ユウと弟は言う事を聞かず母を苛立たさせるばかり。反抗的なユウに時折り殺意さえ抱く。失業した父親がそれに輪をかける。やがて離婚し、家族は崩壊へ。

大阪のユウ(阿久津慶人)の家はシングルマザーの貧困家庭。母親(高畑充希)は寝る時間も惜しんでアルバイトを掛け持ち。全てユウのためにと思っているが貯金は雀の涙。そんな母にユウは何も言えない。イジメられている事も。そしてなけなしの貯金が叔父に盗まれた。母は心が壊れそうになったが...


静岡のユウは森村誠一の「魔少年」そのもの。魔少年よりもサイコパス性が強いというか、訳わからない少年です。演じた柴崎楓雅君。2020年の日曜劇場「テセウスの船」で強烈なサイコパス少年を演じて以来、こんな役どころばかり。もう少し普通の可愛い少年を演じて欲しいのに。

神奈川のユウと弟。この二人には確かにイライラします。しかし本作3人の母親の中で菅野美穂さん演じる母親が一番苦手です。うじうじ、グダグダと。はっきり言ってこういうメンタルな人間のお芝居は見たくありません。自分のメンタルまでおかしくなりそうで。

大阪のユウ。なんで大阪といえば貧乏な下層民という設定ばかりなんでしょう。大阪人として抗議したい。それはおいといて高畑充希さん演じる大阪のお母ちゃんが一番まともに見えました。大阪出身の高畑さんですので言葉も違和感なし。心が折れそうになっても何とか持ち直しました。さすが大阪人!

もう一人、4番目のユウがいました。そのユウは母親に殺害され、母親は刑務所に収監されています。そして息子の殺害に至った思いをネットに残していたのでした。3人の母親はそれを読んでいた。

3人の少年俳優はよく頑張りましたが、本作品は2回見たいとはどうしても思えません。私も残りの人生を考えれば、好きな作品だけを見ていきたい。暴力、グロ、メンタル、電波系?は無理です。
(思いっきり美少年が出ていたら一応は見ますけど...ナンヤ)

静岡のユウは柴崎楓雅君。なに不自由ない生活なのに
なぜサイコパス(精神病質者)になってしまったのか。
息子の裏側を知って思わず母は首に手をかけた。
(これは現実だったのか、母親の深層の願望だったのか)


神奈川のユウは外川燎君。弟は自分勝手でワガママ。
なのに、母親はいつも自分ばかり責める...
夫婦喧嘩の声。何もかも嫌になったユウ
(彼が映画『大人は判ってくれない』に1番近い)


大阪のユウは阿久津慶人君。母の誕生日を祝う。
働き詰めで誕生日なんて...思わず涙、涙
叔父(母の弟)が通帳と印鑑を持って行った。
僕は止めたんだけど...なんでこんな事を
(♪みんな貧乏が悪いんや....)

静岡のユウのラストシーン。。
(母と通じ合えた。本当なのか。どうも嘘くさい)
神奈川のユウのラスト。離婚した父が出ていく日。
離婚するんなら、なぜ僕を生んだんだよ!



※後記
写真キャプションに「♪みんな貧乏が悪いんや」と書きましたが、これはフォーク歌手 岡林信康さんの「チューリップのアップリケ」から。これは凄い歌ですよ。一度 youtubeででも聞いてみて下さい。





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