滑走路 (2020年)

作品総合評価 B-
少年の出番 35%(設定上は中学2年生)
寸評 イジめた連中に天罰を下してほしい...
【少年映画でない理由】年齢オーバー
映画情報など 2020年、国内公開。BD/DVD発売中。
写真は池田優斗君。


イジメや非正規労働者などの社会問題を扱った作品。故・萩原慎一郎氏の歌集『滑走路』をモチーフにして作られたそうですが、映画をみるまでそんな情報は知りませんでした。ただ池田優斗君が出演ときいてWOWOWで鑑賞しました。

学級委員長のおかげでイジメは止んだが、登校拒否で自宅に引きこもった裕翔。
天井に投影した家庭用プラネタリウム。何を象徴しているのだろうか...

ある中学の学級委員長の隼介(寄川歌太)はイジメにあっていた裕翔(池田優斗)を助けたが、今度は自分がイジメのターゲットに。そんな時、美術部の翠(木下渓)に助けられて2人は親密になっていく。しかし翠は転校していった。裕翔は不登校のまま。学級委員長の暗い青春時代が続く。

10年余り後。裕翔は厚生労働省のキャリア職員。非正規労働者の自殺問題を調査していて、あるケースに目が止まった。自分と同じ年齢の若者。その写真に見覚えがあった。学級委員長の隼介だ。あの秀才で明るい中学生がこんな悲惨な人生を歩むとは。裕翔は隼介の家を訪れて母親に謝罪する。

中学の美術部員だった翠は切り絵作家として成功。愚痴ばかりの夫とは数年前に離婚。夫の子供を宿していたが、「堕ろします。あなたの子供だから」と宣言した。しかし「お母さん」といって抱きついてくる男の子がいた。


学級委員長だった隼介
中学生時代しか描かれませんが、彼が本作の主人公だと思います。演じた寄川歌太君。本当に爽やかなイケメン。実年齢は16歳でしょうか。もう1年早く演じていたらと残念です。イジメられた事がトラウマになり、大学にも行けず?非正規のままで絶望して自殺。パイロットになるのが夢だったのに...

厚生官僚になった裕翔
イジメで不登校ながら心機一転して勉強したのでしょう。厚生労働省のキャリア官僚。しかし職務は過酷。政治家の要求で不毛な資料作りの毎日。上司は口だけで全ては若手職員の負担。そんな中で非正規で自殺したケースについて独自調査を始めました。実際にはそんな余裕があるのかどうか。

中学生時代を演じた池田優斗君。(こんな事を言ってはアレですが)苛められる演技が抜群。学級委員長が自宅を訪ねてくれました。一緒に頑張ろうよ。しかし、みんなお前が悪いんだ!とブチ切れる演技も良かった。池田君の出番はこれだけ。もう少し出て欲しかった。

美術部員だった翠
中学生の時、あれだけ学級委員長と親密で将来の夢を語り合った恋人だったのに。その後は知らんぷり。学級委員長が死んだ事も同窓会で初めて知ったとは。でもシングルマザーになり、幼い息子の夢はパイロット。もしかして隼介の生まれ変わり?

イジめた連中
イジメのリーダー役は小林喜日君。彼もいい少年俳優だったのですが今回は悪役。こいつらクズ連中のその後は一切描かれていません。加害の事なんか忘れてのうのうと暮らしているのでしょう。映画とはいえストレスが溜まります。昔のような勧善懲悪がいいとは言いませんけれど。


過酷なイジメを受ける裕翔。
(首を絞めて気絶させる。一歩間違えば...)
裕翔を助け、今度はイジメられる側になった学級委員長。
心の支えになってくれたのが美術部員の翠(左)。


引きこもりの裕翔の部屋の前に立つ隼介。
幼馴染みの裕翔に立ち直って貰いたかった。
ドア越しに隼介にブチ切れる裕翔。
(白目剥いたり、泣き喚いたり、池田優斗君も大変)


翠と隼介。本来なら光り輝いていたはずの青春時代。夢は画家。夢はパイロット。
翠の夢は叶った。でも隼介の夢はイジメのクズ人間たちにブチ壊された。


※後記
最初は中学時代、大人時代は独立した話のように描かれます。しかし徐々に同じ人物を描いているのが判ってきます。ちょっとまどろっこしいかも。





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