ドラゴンヘッド (2003年)

作品総合評価 C
少年の出番 5%(セリフもないが、強烈な印象が残る。)
寸評 何が起きたのか。原作漫画を知らないと無理。
【少年映画でない理由】出番過少。
映画情報など 2003年、国内公開。DVD発売中。
写真は大川翔太君と吉岡祥仁君(どちらかは不明)。


望月峯太郎原作漫画の実写映画化。公開当時、タイトルは聞きましたが内容は全く知らず。2021年になってWOWOWで放送されたものを初めて見ました。特撮やCGは頑張っていますが、欧米や韓国のパニック映画に慣れてしまったせいもありますが、どうもノリが悪い感じです。

焼け残ったある家の地下室。2人の兄弟がいた。手術痕のあるスキンヘッド。
無表情でピアノを連弾していた。側には父親の死体と瀕死の母親が。

修学旅行帰りの高校生テル(妻夫木聡)。新幹線がトンネルを通行中に大地震が発生して脱線。気がつくと生存者はテルとアコ(SAYAKA)、ノブオ(山田孝之)の3名だけ。ノブオはおかしくなり奇行を繰り返す中、テルとアコだけが地上に脱出。地上は別世界のような惨状。ある家でシュンとジュン(大川翔太、吉岡祥仁)という兄弟をみつけた。

2人は頭にロボトミー手術を受けていて感情が全く無い。テルたちは暴徒や自衛隊にまで襲われながらも何とか東京に戻るが廃墟と化していた。難民に缶詰が配給。缶詰には強力な鎮静剤が入っていた。難民が暴徒化しないよう政府が予め用意してのだ。やがて火山が爆発。テルはアコを連れて逃げるが...


主人公がトンネルの中にどれだけの時間いたのか判りませんが、ごく短時間で日本全土の地形が変わるほどの天変地異。この大地の荒廃感が凄い。20年前の特撮技術も大したものと思っていたら、ウズベキスタンの荒野でロケを敢行したとの事。製作費を惜しげなく投入したのですね。

シュンとジュンの兄弟。これから続く災害に底知れぬ恐怖を感じるのが可哀想だと、医師である父親が頭部に手術をして感情を殺したそうです。そして父も母も亡くなった。スキンヘッドで開頭傷跡のある2人の少年。無表情なその姿は旧ソ連のSF映画みたいで迫力がありました。

暴徒も発生します。暴徒から自分達を守るために武装して自らもまた暴徒に。本来なら国民を守るはずの自衛官。少女アコに欲情して遅いかかり、男子のテルは邪魔なので殺しにかかります。これでは地獄の中の修羅道か餓鬼道そのもの。

主役の妻夫木聡さんとSAYAKAさん。頑張ってはいましたが、もう少しインパクト欲しかったという印象です。原作では中学生。それを高校生に上げたのですが、妻夫木さんが高校生というのも少しキツい。こういうスケールの大きい映画に日本人俳優はなかなか合わない。一番印象に残るのがスキンヘッド少年でした。


テルたちは2人を連れて脱出したが、火山弾が車を直撃。1人が死んだ。
足元に横たわる死体はジュンなのかシュンなのか。全く無表情で死んだ兄弟をみつめる。

テルたちと一緒に東京までやってきた。ここは渋谷。相変わらず何を考えているのやら。

廃墟の町をさまよう。手には黒焦げのテディベア。何を思って熊のヌイグルミを抱いているのか...

渋谷のシェルターにも火山弾が降り注ぐ。少年は顔色ひとつ変えず、炎に巻かれて死んでいく。



※後記
別のレビューでも書きましたが、本作とほぼ同じ時期にWOWOWで韓国映画『新感染半島ファイナル・ステージ』も放送。パニック映画特集だったのかもしれません。でも韓国映画の主役俳優と、運転テクニック抜群の美少女俳優のスケール感に圧倒されました。もうちょっと頑張って欲しい。

※追記
本作品でヒロインを演じたSAYAKAさんが2021年12月に逝去されました。芸名を本名の神田沙也加さんに変更して歌手やミュージカル女優として大活躍されていただけに残念です。ご冥福をお祈りいたします。合掌。





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