HOKUSAI (2020年)

作品総合評価 B-
少年の出番 冒頭1分ほど。(終盤に性別不明の子)
寸評 葛飾北斎よりも周辺の人物が壮絶な印象
【少年映画でない理由】出番過少
映画情報など 2021年公開。BD/DVD発売中。
写真は城桧吏君。


江戸時代の絵師、葛飾北斎の人生を描いた作品。北斎は歴史番組などで取り上げられる事も多く、そんなに珍しくもありません。でも本作のように映画として総括的に鑑賞できるのは有難く思います。少年期を城桧吏君、青年期を柳楽優弥さん、老年期を田中泯さん。でも少年期は1分も無いのか残念です。

映画終盤の「四の章」で、北斎の弟子(少年or少女)が登場します。宴席では少しだけ歌も披露しているのですが、彼又は彼女の情報が全く判りません。それが気になって、今回レビューすることにしました。

砂浜に棒で絵を描く少年時代の北斎。(全体が見れるのはこのワンカットだけ)

少年の北斎(城桧吏)が海岸で砂に絵を描いている。青年となった北斎(柳楽優弥)は絵師となるが、師匠に反発して破門。一匹狼で絵を描き続けるが全く売れない。しかし版元の蔦屋(阿部寛)が北斎の才能を見出す。それでも当時売れっ子の写楽の絵を見た北斎は衝撃を受け、江戸を離れる。

画風を確立して江戸に戻った北斎の絵は蔦屋によって売れ出した。しかし北斎は誰に頭を下げる事なく自主自立を貫く。老年(田中泯)になっても同じ。風俗取締が激化する中、武士なのに隠れ弟子の男(永山瑛太)がばれて惨殺。これを憂いた北斎は再び江戸を出た。そして渾身の絵を残した。


自分の描きたいものだけを描く堅物だった北斎。その人生が思ったよりも淡々と描かれています。柳楽優弥さんの肩に力が入り過ぎない演技が好印象でした。老年期を演じた田中泯さん。雰囲気が柳楽優弥さんと全く異なるので、少しギャップを感じたのですが、これはこれでいいと思います。

北斎自身は淡々と描かれているのですが、北斎のフィクサー?になる蔦屋重三郎の行動が派手で、よくも悪くも印象に残ってしまいました。演じた阿部寛さんの濃い顔のせいかもしれませんけれど。

また終盤。本来ならば浮世絵や風俗を取り締まる立場の武士(永山瑛太)が北斎の腕に惚れて弟子入り。別の名前(今で言うペンネーム)で浮世絵を描いて販売まで。上司に呼び出され、自分が絵を描いた事を申告すると、その場で斬殺されてしまいました。この無念の表情が一番印象に残っています。

さて少年期を演じた城桧吏君にも何かエピソードが欲しかったのですが、記録には何も残っていないのでしょう。勝手にフィクションでエピソードを作るのは出来なかったのだとは思います。勿体ないなあ...


自分の描いた絵をみて、ふぅーっと息をつく
(もう少し長いシーンでも良かったのに)
しっかりとした眼差しで絵を見つめる。
(やっぱり眼力の強い美少年です)


老年の北斎の下に弟子入りした子供。
(北斎の身の回りの小間使いも兼ねていた。)
宴席で「お前の自慢の喉を聴かせてくれ」と言われ。
(リメンバー・ミーの石橋陽彩君に見えました。)



※後記
弟子を演じた子役さん。こんなところでグダグダ書くくらいなら、お前が製作者にメールでもして訊けよ。そう言われるかもしれません。すみません。こうやって自分の世界でクダ巻いているだけ...





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